はじめての彼女ができたので幼馴染の女の子とキスの練習をすることになりました
丘野雅治
第1話 幼馴染のスポーツ少女に勉強を教えていたら恋愛の相談に乗ってもらった
オレは自分の部屋で、幼馴染の
高3の2学期の期末試験が近づいている。
当然、小学校も中学校も同じ学校に通っていた。
小学校の頃は、どちらかの家で一緒に宿題をやったものだ。
彼女は勉強が不得意だ。
中学になってからは、定期試験前の部活休止期間に、オレの部屋で
高校になり、オレは県内で偏差値が上位の学校へ入学した。
それでもテスト前は一緒に勉強するクセが続いている。
だけど、それも今回までだ。
中学から高校まで5年以上も続けてきたことが、今回までだと思うと少しエモい。
※ ※ ※
日曜の午後の日差しが窓から差し込んでくる。
オレの部屋の真ん中にローテーブルがあり、そこに教科書やノートが広げられている。
それを挟んで、オレと
今日の
服はシンプルだけど、彼女の背が高いせいで、すらっと格好良く見える。
彼女は、いつもカジュアルで動きやすそうなファッションをしている。
彼女は女子にしては背が高くて、オレは男子では平均的だけど、オレより少しだけ低い。
髪型は運動部らしく、いつもショートカットで、丸顔に似合っていて可愛い。
胸も結構あるし、運動ができる女の子が持つエネルギッシュな存在感がある。
でも、高校に入ってから可愛くなって、モテているはずだ。
何度か恋愛について聞いてみたけど、部活でそれどころじゃないと言っていた。
※ ※ ※
昼過ぎから勉強を始めて、もう2時間くらいになる。
そろそろ休憩にするのが良さそうだ。
オレから声をかける。
「ちょっと休む?」
「うん」
2人してペットボトルの飲み物や、テーブルの上のお菓子に手を伸ばす。
「いまさらだけど大学の合格おめでとう!
直接会ったら言いたいって思ってたんだ。
指定校推薦とか普段から勉強してなきゃ取れないんでしょ。
さすが真面目な
オレたちが直接会うのはテスト前くらいだけど、大きなことはメッセージアプリで報告している。
「
「アタシは部活やってただけだから。
勉強できないのに部活で合格って、いい顔しない人も多いよ。
「オレは、
同じランクの大学に合格できたってことは、オレの勉強と
2人して大学が決まってるからこそ、こうやってのんびり期末テストの勉強もできるしね」
「それは本当そう!
今回すっごく気楽に勉強できる!」
「それで、彼女とはどうなったの?」
オレはつい最近になって、はじめての彼女ができた。
相手は同じクラスの女の子だ。
「先週やっと手をつないだ」
「もうちょっと詳しく教えてよ。
名前なんだっけ?」
「
「図書委員だっけ?」
「うん、読書好きな子」
「
「彼女はラノベも読むけど普通の小説の方が好きだね」
「
「そういうのじゃないね。
文学少女って感じ」
「ふーん」
「いつから仲良くなり出したの?」
「春にクラス替えで一緒になって、読書の話とかしてて。
9月の文化祭で班が同じになって、特に意識したかな」
「付き合い出したのっていつなの?」
「指定校の発表があってからだから、先々週だね」
「どっちの発表?」
「2人とも指定校受験で、大学は違うけど、ちょうど発表が近かったんだ。
それで2人とも合格で、それきっかけで付き合うようになった」
「デートとかは?」
「ちょうどテスト前だから、まだ本格的にデートへ出かけたことないんだ」
「真面目だなぁ」
「今は学校から一緒に帰って、ファストフード店で話したりするくらいかな」
「それでその……」
「その子の元彼のことはどうなったの?」
オレにとっては、はじめての彼女だ。
でも、彼女には元彼がいたらしい……。
オレも友達から聞いて詳しいことまで知らない。
以前に、
「大学生と夏休みまで付き合ってたらしい。
去年図書委員会で一緒になった1学年上の先輩らしいよ。
夏休みに相手が浮気して別れたみたいって友達が言ってる」
「そうなんだ」
「気になるけど、聞いていいのかわからないくて」
「難しそうだねぇ」
「
男がいたなんて、考えもしなかった」
「その子ってクラスに友達いないの?」
「何人かいるけど、目立たないおとなしい子だね。
モブキャラっぽさに親近感が湧いたっていうのは正直ある」
「勉強できて読書が好きでおとなしい子なら
「オレもそう思う。
ギャルとか美少女とか二次元では好きだけど、リアルで付き合うのハードル高すぎるからね。
オレにはちょうどいい気がする」
「そっか」
オレは
「今度デートに誘うつもりなんだ。
はじめてのデートらしいデートって、どこへ誘えばいいかなぁ?」
「アタシならアイススケートとかボーリングとかバッティングセンターだけど……」
「アクティブすぎ」
「だよね。
そうなると、映画館とか水族館とか美術館とか……かな」
「そうだよな。
彼女が前読んでた恋愛ものの小説が映画になっているから、やっぱそれかなぁ」
「それがいいんじゃない?」
「もうひとつ気になることがあってさ」
「何?」
「キスとかどうやってすればいいのかなって」
「気が早くない?」
「元彼がいるって聞いたら、キスが下手だって思われるの嫌だなって」
「なるほどね。
比べられちゃうか」
「高3で1年も付き合ってたら、やっぱりキスくらいしてるよね」
「
「もちろんない。
「アタシも、もちろんない」
「役に立たないなぁ」
「何よ偉そうに」
「オレだって真面目に悩んでるんだよ。
目はつぶるべきかとか、鼻が当たらないかとか、舌入れるべきかとか。
わからないこと多すぎ」
「大変ねぇ」
「ひとごとだからってもう少し気にしろよ」
「試してみればいいんじゃない?」
「何を?」
「キスを」
「誰と?」
「……、アタシと?
他にいなくない?」
「えっ。
えっ?
えっ!」
「そんなにいうんなら、アタシで試してみたらっていってるの!」
「いいの?」
「いやなの?」
「いやじゃないけど……」
「先輩と比べられて、下手だから付き合うのやめようとか思われたら嫌でしょ」
「そりゃそうだけど」
「なら練習あるのみ!」
これが運動部の考え方なのかなぁ。
ちょっとメチャクチャな気もする。
「本当にいいの?」
「いいっていってるんだから、アタシの気が変わらないうちに早くしなさいよ」
ここで躊躇してちゃダメか。
「じゃ、どうすればいい?」
「アタシもわかんないって!
ひとまずやってみればいいでしょ!」
オレと
「いい?」
「聞かないで!」
オレが顔を近づけると
肩を抱いて唇を重ねる。
柔らかい。
あたたかい。
オレの舌が
舌と舌がもっと触れ合う。
「もういいから!」
突然、
「うん、大丈夫。
満足するわよ彼女も」
そして彼女は勉強の道具を持って帰った。
オレはただ
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