第7話
勢いよく走り出す、赤鼻の鹿。
「おい小僧、鹿に乗り変えるぞ」
ええ?と疑問を持ちかけるが、
その身体はいつの間にか
鉄の塊に辿り着いていた。
その速度はあまりにも早く、
三太は必死に噛み締める。
前方の森を抜けると、目標地点の城が見える。
気がつけば22時。随分と遠くまで来ていた。
「どのように行くのですか」
都筑の親父は指をさした。
「この鹿たちを両端の滑車に
うまくひっかけんだ。
おめえ、そっちの紐引っ張れ」
見様見真似でその紐を引っ張る。
ぐぐっと、身体が直立になる。
「おい!早いぞ」
跳ぶ、跳んだ。
片方の鹿の角に上手いことかかった。
無様にもその筋を辿っていく。
振り落とされないように鉄の塊にしがみつく。
「大変じゃ」翁も振り落とされないように。
「敵襲じゃ!」どこからともなく
その声が聞こえた。
ひゅるるるると矢を放つ音を聞いた。
その鉄の塊はやがて城の上部にのめり込んだ。
遠くの丘からその瞬間を見た
実篤は生唾を飲んだ。
上手くやってくれ。
そう願うばかりだった。
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