夢の終わらない

夢の中でお前を見捨てて逃げてからちゃんと笑えている気がしない



あの山をいくつ越えれば君の部屋? 未知なる町を夢に求めて



夢だと知って首を締め出す優しいと評判だった王子様



凍りつく泉の底に竜はいて王女の夢を見続けている



夢の中歩き回って行きついた扉を開けると昏い地底湖



暑いから窓を開けてるわけじゃない 夢に来るのを待っているんだ



午前二時夢から覚めて何故だろう息が乱れるノブ回りだす



卵生の人類の住む惑星を夢に見る冬 二月九日



核弾頭発射の報に起こされて二度寝を決める春は曙



絶対に覚めぬ悪夢を見てるよう もう7日間日が沈まない



私達二人で作った怪談が招いたらしい人間金魚



県道に聳え立つ大鳥居だが建設記録が何処にもないとか



「それ 夢に見たなら諦めてください」と言って医師が笑っていたこと



神は人を作ってそれから言った。「駄作を作る勇気が大事」



人間をがらくたにする腐った手たくさん落ちて来る月曜日



奥さんの体の錆を取りますと営業電話の掛かる火曜日



何も動かぬ廃幼稚園に子供の声が鳴る水曜日



座敷牢出て仏壇の遺影らが歯を剥き笑っている木曜日



浮遊する白の円盤から涎漏れて街溶かした金曜日



店員がいきなり大きく笑いだしぽんと頭が割れる土曜日



人がみないなくなってる午後五時に置いてかれて一人日曜日



宇宙行く船に積まれた沢山の猫猫猫猫すし詰めの猫

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短歌集『百葉箱』 みやこ @miyage

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