幽霊短歌
【そのマンションの一階廊下部分では、「下半身が床に埋まっている老婆がお盆の上に湯気の立つ茶を乗せて動いている姿」が目撃されていました】
「おばあさん? 違うよ黒尽くめの男」
幽霊も代替わりするのか
「黒い人? なにそれ。大きい口になら
追いかけられたってトモ君が」
【異霊探】
一人だけなら感動的だったけど
あの人の霊 三つ浮いてる
ひどく有名な霊園にある
ひとつだけ幽霊のいない墓石
二ヶ月・三ヶ月✖ 四ヶ月◯
胎児も幽霊になるんだ
私とは全然違う方向に
謝る彼の見る『私』
あの星は既に死んでる
私達星の幽霊に見られている
最近わかったことだけど体内細菌までも幽霊になる
「あれは建物の幽霊だからです。
壊そうにもね、壊せないです。」
「二名様?」に「三人です」と答えた客を
私以外誰も見てない
人とは違うものを見る少女
「私を置いてく場所を決めよう」
眼の下の隈が日々濃くなり、やがて
黒い何かと化した幽霊
「これとそれ、ついでにあれが人に見えるなら向いてないぜ、この仕事」
お目覚めの僧侶は気づくこの星が
もう幽霊であるということ
サンシャイン60上空に浮かぶ巣鴨プリズンの幽霊
俺に見えないのにお前に見えるはずないと言えずクラスの片隅
ある日から死者から変じたものだけを幽霊と呼ぶように変わった
幽霊は重力から解き放たれてる
挙動もその形状も
この短歌読まない者の枕元に幽霊みたく佇むとする
「はい、え? はい、そうです電話ボックスに
みっしり詰まってます見つめてます」
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