第3話 ここは何処

--あまりの、あまりの光景に俺はただ立ち尽くすしかない。だってそうだろう?さっきまで公園でクリームパンを貪っていたのになんで湖が出てくんだ?普通に考えておかしいだろう。これは、、、夢か?夢だよな?夢に違いない、、、、ジクジクする体の痛みで現実逃避から戻って来てしまった、、出来るのならばこのまま現実逃避を続けていたかったのだが、思考が元に戻ってしまうと流石に目の前の光景を否定することはできない。さて、俺の目がおかしくなければ此処から十歩も歩けば水があり、涙が滲む目で見る対岸はそこそこ遠そうという事以外には緑っぽいということしか分からない。俺がさっきまでいた公園の周囲に湖などなかったし、それどころか池すらないコンクリートジャングルだったのだ。目線を下に移し足元に目をやると、褐色の土と落ち葉、そして半分になったクリームパンがあった、、、そういえば食ってたなこれ。普段なら地面に落ちたら絶対に食べることはないのだが、、残念ながら避け難い現実が十歩先に存在するのでそんなことを行っている場合ではない。地面から拾って土埃や落ち葉を取り除く作業に入る、、涙が滲むせいで見にくいなこれ、一旦クリームパンを片手で持ち、服の綺麗な部分で涙を拭いた。それからこの状況を考えつつゴミを取った。三分ほどしたら見た目は綺麗になったので口内に広がる血の味を誤魔化す為にささっと食べる事にした。僅かに土の味や雑味の味がしたが、砂糖の力はやはり偉大であまり気にせずに食べることが出来た。甘みを摂取したことで舌の痛みも落ち着き、腹も満たしたので思考がクリーンになってきたなこれ。まあ、現実は残念ながら今でも変わっていないんだがな。「どうしよぉ、、、」いや、泣き言を言っている場合じゃあないだろ俺よ。




あれからしばらく現状確認をしていた。まず湖の水は変な匂いもしなかったし多分飲めると思うんだが、、エキノコックス怖いなぁ、、、まあそれは助かった後で病院に泣きつく事にしよう。次に、おそらく此処は半島?だと思う。湖の水の匂いを嗅ぐ時、辺りを見回したら前方の陸地は遠いが後方の陸地は近い事に気がついた。まあそれで半島じゃないかと希望的観測をしたわけだ。最後に、俺の持ち物は長袖が一枚に長ズボンが一枚、それと靴下と靴という外出用装備だ。さて、おそらく現在地は、、、、何処だろ?東北とかか?んん〜分からん、まあいいか、、、だってこんなのわかるわけねぇだろ!!何処だよここぉ!!!、、、、、、一回落ち着こうそうしよう、今そんなことを考えても混乱するだけだろうし、これは後で考えるとしよう。さて、助かるためには人に出会うか山の頂上などに登って救助を待たねばいかん、なのでまずは沿岸沿いに歩いて行く。先ほどの場所は木が多く森みたいに感じだったので木が少ない沿岸沿いを歩く事にした。







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