ある晴れた雪の日

　私はある朝、教室のドアを開けた。

　静けさ残る教室に私は見た。

　雪の精霊をその雪の精霊は輝いて見えた。

　まるで私にしか見えていないように見えたそれを私は目を丸くしてジッと見つめている。それをクラスの男子共は茶化すことなく私をジッと見つめ身震いした。

「あいつ……なにしてるんだ」

　それは私も同意見だった。

　それは私にしか見えない雪の精、名を美雪と名付けた。あまりにも美しい姿は私に美雪と名付けさせた。

　男子共は普通に見えている私に少し恐怖というか畏怖の目で見ていた。変わらずこの姿のままの美雪はやはり美しかった

「美雪。……私ね。高橋花恋っていうの。貴方とお友達になりたい」

　彼女は言葉を発さなかった。そりゃそうだ。と、私は彼女とは釣り合いが取れない。そう思ったとき彼女は右手を差し出して会釈した。

　私はその手を握りしめると途端に寒気がした。

　風邪かなと思ったが彼女の冷気のこもった手に、私は手を悴ませた。

　静かに呼吸するようにその手を離した雪の精は私の元から姿を消した。

　私は静かに呼吸し一命は取り留めたがその手を離したくなかった。

　私はその晩に風邪を挽いた。母はおかゆで私を看病してくれた。父は私のことを自分のことのように心配してくれた。

　しかし、私はこのあと何があってもあの子には会えない。という寂しさでいっぱいだった。私が眠りにつくと両親は私に何が起きたのかを話し合った。彼女とは誰のことなのか。なぜあの子はあんなに苦しまなければならないのか。両親の話はいたいけな私を深く傷つけた。

　その日から雪の精と話を聞かなくなった。

　その雪の精は私にしか見えていないらしく、私は視界がぼやけてしまわないか心配になった。その女の子は白い息を吐く。静かに笑うその顔が私の肌を強張らせた。

また！　あなたに会いたい。そう言って雪の精は消えていった

「私は！　あなたのことを愛してる。だからまたいつか」

　雪の精、美雪さんは私の前から姿を消した。

　男子共は私を畏怖の目で見ているが女子は感心していた。