展開に魅せられる本作。過酷な運命に翻弄される登場人物たちを、思わず「負けないで」と祈るように応援してしまう――それは、第一章のほのぼの幸せな光景が、その後の章でもずーっとスパイスのように効いているから。
主人公のルイくん、アンジュくんはもちろん、脇を固める天使も悪魔も人間にも、忘れられない印象的なエピソードが与えられています。どのキャラクターを取ってもパッと頭に浮かぶストーリーがある。その鮮やかな個性と背景に、きっとお気に入りのキャラクターが見つかるはず。
そして、私が一番印象に残ったのは記憶喪失になった、ある重要人物の描写です。ここでも、「そうくるか!」と展開に惹き込まれると共に、記憶を失った者の心情描写の説得力に驚かされました。
壮大な舞台で運命に抗って進む、魅力的なみんなにぜひ会いにいってみてください!☺️
最終話までのレビューです。
光あるとき闇もまたあるように、天使がいるからこそ悪魔もまた存在する。双方における二面性が軸となって展開される心揺さぶる感動のファンタジーです。
正義と悪――互いの主張や干渉がぶつかり合い、敵対し争いに興じるファンタジーは数多く、小手先のテクニックで事態をひっくり返すようなテンプレは常態化しています。
本作はライトなBL要素を含みますが、先のカテゴリーから一線を画した人物相関と造形美、家族愛が光る作品となっています。深みのあるストーリーと知られざる痛切な過去。幾度となく押し寄せてくる感情のさざなみ。その満ち引きから醸し出される情感は豊かな躍動へと心音を高鳴らせ、物語は感情移入を伴いながら加速していきます。
冒頭の突然の出会い――名もなき天使は悪魔に恋をしてしまう。その先で女神が仲間の天使を遣いやり、恋仲の天使を追い詰めていく緊張感。そのさなかで、悪魔は天使を守り抜こうと懸命に立ちはだかる展開には誰もがハラハラすることでしょう。
ややあって、眠りについてしまう天使――たとえ記憶が戻らない思い出になったとしても、悪魔は諦めずに天使を想い祈り続けます。想い人を待つ愛のまなざしが季節を巡り合わせても、なお信じ続けるのです。目を覚ます、必ず戻ってくると。
しかし、奇跡的に目を覚ました先に呼び起こされるのは目を覆いたくなるような悲痛な過去でした。しかも、今まで紡いできた思い出は蘇ってはこなかったのです。
なんて切ないのでしょう。
誰にも触れられたくない記憶として知らないままの状態がお互いにとって繋がれた幸せなのかもしれない、そんな事勿れ主義もいいでしょう。
しかし、それは本当に望むべき未来でしょうか?
手段は何であれ、過去の事実を知り、受け止め、寛容な心で包み込む。そして共感する。相手の痛みを知るほどそれは純然たる優しさであり愛なのだと、そう感じさせる作風が胸を強く打ちます。この物語にはそれらを繊細な筆致で込められているように感じます。
家族愛ひとつとっても仲間の存在が穏やかに温かく迎え、支え合い、笑い合って涙を流す。幸せな場所でこんな素敵なことはありません。
相手を想う心の本質は、何物にもまさる。その綺麗で純粋な気持ちをこの物語は教えてくれました。
私はこの小説に出会えて幸せです。
日常系だと途中までは思い込んでいました。
けれど、予想を超える衝撃の展開が待っていて……。
ものすごくネタバレしたいけれど、なんとか抑えてレビューを書かせていただきますね!
この作品の魅力なんですが、まず主役のルイさんとアンジュさんの魅力が凄いんです!
ルイさんは、とにかく優しくて、理想のお兄ちゃんと思ってしまうぐらいで、性別問わず惹かれちゃうと思います!
アンジュさんは、ツンデレで自分を大きく見せようとするフシがあって、そこがキュートです。ツンデレと言っても、根がとても素直で純粋な方なので、すぐにデレてくれます。それが堪らなくキュートで( ´艸`)
けれど、そんな態度をみせる本当の理由は、彼の背負った重すぎる宿命が関係していて。
もう一つの魅力として、キャラそれぞれに深い深いバックボーンがあることなんです。
何故こんな考え方をして、何故こんなことするの?
って感じるキャラがいたとしても、その理由を知れば知るほど、なるほどと納得してしまい、大きな説得力に包まれます。
そのバックボーンのシナリオなのですが、これが物語に深みをもたらしていて、これだけで一本のストーリーが成り立つぐらいだと感じました。
ネタバレは避けますが、ほぼ間違いなく泣けます。もれなく泣けます。絶対泣けます。
特にアンジュさんのエピソードは凄まじいです。
誇張でもなんでもなく、嗚咽のようなものが漏れました……。
BLものとありますが、本作は性別関係なく読める傑作だと思います。
男性×男性ではあるけれど、そんなくくりは大きな愛情の前では些細なこと。
肉欲のともなう恋愛を超えた先にある情愛……そんな域にある澄んだ愛を描いているように私は感じています。
最終話まで読むと、まるで1クールの傑作アニメを観終えたときと同じ二種類の感情を抱きました。
胸を満たす充実感。でも終わってしまう寂しさ。
この二つの強い感情の板挟みにあうって名作の条件だと思っているので、本作は間違いなく名作だと断言できます!
私の思い出ライブラリーにも、ずっと残っていくに決まってると断言できる素敵な素敵な清らかな愛の物語でした!
性別を超えた素敵な愛の物語に出会いたい方、是非ご一読のほうをよろしくお願いしいたしますm(_ _)m