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冬蜂の微光

冬蜂の微光

夏迫杏

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★★★
★6
2人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 宮田秩早
    259件の
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    ★★★ Excellent!!!

    閉じた楽園から去るときに

     主人公は母親と暮らしていたが、その母の再婚と、あたらしい父親とのあいだにできた子供の存在によって、言いようのない空白を抱えている。

     物質的には今の方が幸せで、両親は彼を阻害していない。
     ただ、母と息子、ふたりで過ごしていた時間よりは、どことなく、なにかが物足りない。
     読者からすれば、母息子のふたり暮らしの「近さ」は、人間関係としては不健全のように映るのだが、たしかにその関係は充実し、このうえなく充たされて感じられていただろうことも想到できる。

     でも、みんな変わりゆくのだ。
     変わらないものなどない。

     母親が違う人間関係を結び合ったように、主人公もまた、あたらしい関係へ、別の場所へと進もうとする、そんな物語に感じられた。

    • 2024年12月26日 11:34