なにが本当で、どこまでが嘘なのか?
自分はどうなってしまったのか?
主人公の主観視点で物語が進行するため、両親の話すことの真偽も定かではありません。
ノア・ブローニュ君の目が覚めたとき、彼の両親はひどく興奮していました。
ふたりの話によると────
どうやら彼は一度死んで、蘇ったらしいのです。
その日からノア君の日常には、幾つもの奇妙な事が起きます。
家の外には出してもらえず、家の中には変なことが多くあります。
そしてある日、彼は気がつくのです。──────
作中では、なにか異常な事態が起きているらしいのですが、その手がかりも外に求める事は出来ません。
知る事ができるのは、家の中のことに限られています。
だから読んでいると、もどかしいのです。
ピントのボケた動画を延々と眺めるような不穏さがあります。
〝自分だけが自分に起きたことを知らない〟
そしてそのことは、誰にも教えてもらえない。
閉塞した状況のなか、恐怖だけが増えていくのです。
ここに至ると、両親がノア君に言った〝不死身になった〟というワード・チョイスが酷く忌まわしく思えます。
愛情から始まったはずの行いが取り返しのつかない恐怖へと変わる。
その瞬間を、皆様もぜひご覧ください。