3-8:身勝手な陪審員たち
ミズナちゃんはずっと、暗い顔のままだった。
「なんとなく、納得はできた気がする」
隆太の家を出て、しばらくはアツヤたちと一緒に帰り道を歩いた。そうして家に帰り着いた後、僕は庭に残ってミズナちゃんと一緒に過ごした。
「これまでに見てきたこと。あれで説明がつく気がする」
「そうだね」
アツヤたちはどうか知らないけれど、僕たちは自分の目で見てもいる。
「ずっと変だと思ってた。お母さんは、呪いのせいでわたしを殺しただけなのに、どうして地獄に落ちなきゃいけなかったんだろうって」
ミズナちゃんはポツポツと話す。
「あれは、生きている人たちが勝手に決めたからだったんだね。わたしを殺したっていうニュースだけ見て、実際のことなんか何も知らないで『酷い人間だ』って決め付けたから。それで、地獄に落ちた」
「おばあちゃんも、同じなんだろう」
詐欺師として、世間から攻撃された。だからおばあちゃんが死んだ後は、地獄に行くはずだって決め付けられた。
まだ、わからない部分もある。おばあちゃんは死ぬ寸前に、自分は地獄に行くと口にしていた。どうしてそう話したのかは、今でも謎のまま。
それでも、説明のつくことは多くある。
(きっと、母も化けて出ていることでしょう)
「あの、タケユキに殴られた女の人。あの人が家の近くに現れた後、タケユキの家の中に妙な幽霊が出現したんだ」
思い出したことを伝えていく。
「あれはきっと、あのアキサカという女の人が強く『そう思いこんだ』からだ。自分のお母さんが悪霊になっているって決め付けて、その上でタケユキたちの家に行っているはずだって信じたから」
そして、他にも思い当たる。
(ふん、バカ女が)
「タケユキについても同じだ。公園で僕を撮影した女の子たちを妨害し、タケユキも写真に撮られてしまった。きっとあれが原因だった」
「うん。きっとそうだね」
「タケユキを怖がった子たちが写真を『カクサン』というものをし、大勢の人が見るような状態にした。そして、タケユキを危ない悪霊だと思い込んだ。その日の夜から、あいつは公園に佇むだけの悪霊となった」
ちょうどあの夜に、大勢の人が写真を見たんだろう。
「あと、タケユキが姿を消したのは、アキサカという女の人が昏睡から目覚めて、自分がやられたことを訴えた後だったね」
「要するに、地獄に落ちたんだ」
タケユキはどこに行ったんだろうと疑問に思っていた。でも、やっと理解した。
何もかも、『どこかの誰か』が想像しただけの話だった。
ちょっと齧っただけの情報で、『こうに違いない』って思いこんで、誰かを悪者だって決めつけて。そうして地獄に落ちただの、人を呪うだのと勝手に話す。
そんなことの繰り返しで、幽霊たちは滅茶苦茶になった。
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