第88話
不意に視線を感じて顔を上げると、ママがにやにやしながら覗き込んでいた。
「わっ、ママ!」
「なんて書いてるの?」
「ヒミツ」
「えぇー。見せて見せてー」
「……」
ママを無視して、左手で隠しながら続きを書く。
「零」
「何?」
「那由多くんにさ、夏休みに遊びにおいでって書いといて」
「……えっ?」
声が裏返った。
ママはにっこり笑うと、呆けたままの私を残してキッチンへ消えた。
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