占
「あなたは悩みがありますね。それも大きな。ここでその解決策は必ず見つかります」
部屋に踏み入れた途端、目の前に居る、占い師のような風貌をした、男か女かわからない中性的な顔立ちをした人に語りかけられた。
「いや、占いはいいんだ。ここによく乙華が来ているのか」
元の乙華を取り戻したい一心で、食いかかるようにその占い師に話しかける。
「すみませんが、利用者の情報は話せないんですよ」
「僕は乙華の彼氏だ。どうしても知りたいことがあってここに来た。この通り、お願いだ。教えてくれ」
勢いよく頭を下げる。
「……仕方ありません。乙華さん、ですよね。確かに何週間も前から来ています。この方ですよね」
占い師が机の引き出しを開けて、何かの写真を取り出す。近づいて見てみると、乙華が映っている。しかし、隣には知らない男がいた。仲良さそうに手を繋いでいる。
「は?」
思わず声が出てしまう。なんだよこの写真。なんでこんなものが。静まらない心に追い打ちをかけるように、占い師は続ける。
「乙華さんは彼氏さんと、最近うまくいってないと相談されました。そうなんですか、彼氏さん? 上手くいってなくて、飽きてきたから他の人のところにいってしまったとも言ってましたね」
「いや、上手くいってなかったはずがないんだ! いつも一緒にいる時楽しそうだった……」
不安になる自分に言い聞かせるように、言葉を放つ。
「私ならあなたに、あなたの未来が良くなる方法をお教えできますよ」
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