発見

 ばれてしまったら、何されるか分かったもんじゃない。とりあえず、窓から見えないように、身をかがめ、そっとドアから出る。


 ここは三階なので、そこから様子を伺う。まだ乙華は、アパートまで着いていないようだ。今のうちに階段を駆け下りて、ちょうど近くに停まっていたバスに乗り込む。遠くの駅まで行くバスのようだ。なんてタイミングがいい。奥の方の席に座り込んだ。

 そこで、日記を読み始める。始めの方はただの、僕と乙華の恋について。どれだけ幸せか、何が嬉しかったか、など詳細に書かれている。


 なんで読ませられないのかが不思議だった。いや、まあ確かに自分の気持ちを赤裸々に書いてる日記はあんま見られたくないかもだけど、なにも殴るほどじゃないだろう。元々の性格を考えてもおかしい。明らかに乙華は変わっている。


 読み進めていくと、途中からよく出てくる単語があった。よくある普通の言葉じゃない。そして、この言葉が出てきた頃から、日記の雰囲気が大きく変わった。その言葉は


”きせきの館”

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