第80話
いつしか戸棚にひとつだけ増えたコーヒーカップを洗う。
君は一冊しっかり読み終わってから、ごちそうさまと言って帰っていった。
なんだったんだろう、一体。
君は謎も解けてすっきりしただろうけど、私は逆に迷宮入りだよ。
心も身体も振り回されて、なんだかどっと疲れた。
今日は定休日なのにどういうこと。
時計に目をやればもう結構いい時間で、無意識のうちに溜め息が溢れた。
綺麗になったコーヒーカップを丁寧に拭く。
他のティーカップとは別に置き場所に決めた食器棚の2段目の右端にそっと置いた。
なんとなくもやもやして、その白いカップを指先で弾いてみた。
八つ当たり。
なにやってんだかと思いつつも、ふふんとひとり鼻で笑ってしまった。
と、
ふいに隣に目がいった。
目に留まったのは、カップと共に居座っているそれ。
一緒に並べて置いてあるひとつのビン。
君のためのインスタントコーヒー。
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