第3話

帰り道に歩いてきたばかりの道を、逆行して歩く。


ふらふらと蝶のように。




あたりまえだけど、同じ制服を着た何人かと擦れ違った。




行き先も特にないまま逆行する姿は変に見えるらしく、みんな俺をちらちら見て行った。




見んなよ。


俺がどこに行こうが関係ないだろ。




あまりに見られればそんな悪態もつきたくなる。


実際口に出したりはしないけどなぜかイラついて、そんなことばっかり思ってた。




いつしか視線に耐えられなくなって、俺は道路を外れた。




そこはちょっとした土手になっていて、青々とした草が生い茂っている。




躊躇いなくその草へ腰を下ろすと、ごろんと仰向けに寝転がった。




空が青い。


雲は白い。


視界の端は緑。




見えたのはそれだけ。




それだけなのに、なんとなく落ち着いた。




あーあ。


なんか面白いことないかな。

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