第20話

小羽は成光の顔を見ると、

首を横に振った



「――此処を出ても

直ぐに

追いつかれるかもしれない。


私が外に出て囮になり

敵の足を止めます」



小羽は福助の脇差しの刀を

引き抜いた





「貴女は何を考えて

おられるのですか?」



福助がそう言うと

小羽は全てを語るように、


一度笑った





「私は成重様を

愛していなかった。


私の心の中には

幼き頃から

山城松道様が居ました。


私の命を差し出せば

そんな私を許し、


この子の事だって、


成重様も

きっと分かってくれるかも

しれません――」



小羽はそう言うと

部屋の外へと出ようとする




小羽を追いかけようとする

成光の腕を、



福助が強く掴み

引き止める

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