ラストにうるっと涙が出そうになりました。
本作の主人公は看護師の友絵さんです。
無趣味なアラサーで、バリバリ仕事に全熱意を注いでいる。リアリストでもあり、出だしはコミカルで笑いますw。
友絵さんはかなり稼いでいるようで、戸建て(ただし中古)とイタリア車を購入。車はとくに問題ないのですが、問題は家の方。女子高生幽霊の陽菜さんがセットで付いてきてしまっているのです。
この出だしだと友絵さん呪われた?となりますが……あ、いや。悪魔に憑かれとるwはありますが(どういう意味?は直接ご確認ください)、怖いお話ではありません。幽霊な女子高生でも、生意気で可愛い女子高生なのです。
一緒に読書したり、一人暮らしだとサボりガチな料理を始めたり。とてもハートフルです。
そして女性ふたりとも素敵。
主人公の友絵さんは、ツンとしたバリキャリかと思えば、好きになってしまった漫画の種類があれだったり、あれがあれだったり。ネタバレになるため伏せすぎて不穏なことになっていますがとにかく、可愛いのです。大事なことなので繰り返します。可愛いのです。
対して幽霊の陽菜さんは小生意気でちょっと口が悪い女の子。暗い話もサクッと話してしまうどこかサッパリしているところがあります。大人から見ると「歪」に育った、可哀想な子供、という感じに見えてしまいますが、ラスト。全然そんなことなかったのだと感じさせられます。いや、切なくはあるのですが。
はじめは、独身女性と幽霊さんのハートフル物語で終わるのかと思っていたのですが、しだいに「あれ?」と雲行きが怪しくなります。喧嘩とかそういうものではないですが、読者としてはその変化に不安を感じずにはいられません。最終話は、わりと直前までヒヤヒヤしました。「え、まさかこのまま終わり!?」と。
ふたりの関係はどうなっていくのか。
未読の方はぜひ、
この作者様らしい惹き込まれる感情描写とともにふたりの物語を追い、そのラストにハンカチを濡らしてください。
「セイ」がわからなくて、仕事に生きる道を選んだアラサー看護師と、
「セイ」がわからなくて、自ら命を絶った女子高生。
その出会いは偶然であり、必然だった。
軽やかな筆致で「奇妙な同居人」同士の生活がスタートする。
「何かおかしい」そう思いながらも、不自然にお互いを受け入れる2人。
だけど、その危ういバランスは、女子高生の悪戯心によって乱される。
自分の命をどう扱うか。子どもの命をどう扱うか。
子どもたちの命を救うことにアイデンティティを持つ同居人に突き付けた、生々しい現実。
それはほんの悪戯心のつもりだったけど――2人の均衡が崩れるのに十分だった。
そこから、それぞれの中に少しずつ、静かに「セイ」が芽生えていく。
だけど、現実世界は動いていく。
セイが芽生えたことで、2人の運命は動き出し、やがて決定的な時を迎える。
でも。
それでも。
「物語」は続いていく。
優しい筆致で丁寧に進んでいく、たった8話の中に凝縮されたセイとアイの物語。
作者によるサイドストーリー2話を含めて、痛くて甘いお話をぜひご賞味あれ☆