蔓延と慢性
森本 晃次
第1話 伝染
この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年2月時点のものです。時代背景と時代考証とは、必ずしも一致するわけではありませんので、ご了承ください。一種のパラレルワールドでしょうか?
今から数年前に、
「世界的なパンデミック」
というものが発生し、今まで、ここまでの大規模な伝染病というものを経験したことのない日本は、国民も政府も、大混乱だった。
しかも、政府の政策が、あまりにも、ポンコツだったことで、民衆はさらに混乱し、錯乱状態にもあった。
何しろ、
「伝染病対策」
というもので、一番何が大切なのかということを分かっていないのだ。
一番大切なことは、
「伝染させない」
ということである。
そのために一番大切なこととしては、
「水際対策」
ということである。
特に、今回のように、海外で発生し、全世界に伝染しているものであれば、
「入国者を制限したり、さらには、鎖国に近いような、国を封鎖させる」
ということが重要なのだ。
少なくとも、
「どこかの土地で流行し、そこから一気に全世界に広がったということであれば、少なくとも、どこで発生したのか?」
ということは分かるというものである。
「だったら、その国からの渡航を禁止」
ということは必須ではないだろうか?
水際対策というものをしないで、最初に、
「学校封鎖」
などということをしても、何にもならないということだ。
実際に、政府は、その病原菌となった国の元首を、国賓として招こうということを、学校閉鎖というものをやっていながら、まだ招くつもりだったというのだから、これほど、滑稽なことはない。
もちろん、
「滑稽だ」
ということで、済まされることではない。
それこそ、
「亡国の一途をたどろうとした」
ということで、
「政権交代があってしかるべき」
だというのに、まだ、政権にこだわっていた。
その後に行ったのは、
「緊急事態宣言」
などという、
「絵に描いた餅」
とでもいえるような、
「今の時点でできる最高の方法」
ということだった。
日本という国は、かつて、国家を亡国に導いたと言われる、
「大日本帝国」
の時代から、占領軍による、
「強引な民主化」
というのが行われた。
戦争において、
「無条件降伏」
をしたのだから、それも当然のことだが、その時の骨幹としては、
「武装解除に伴う平和国家の建設」
「天皇制の問題」
「財閥の解体や、爵位の廃止」
「農地改革」
などといった政策が中心だった。
その中で、武装解除と平和国家ということで、
「軍隊を所持せず」
ということと、
「有事は存在しない」
ということで、日本は、
「戒厳令というものはない」
ということになったのだ。
戒厳令というのは、
「戦時であったり、災害時に、混乱した都市の治安を維持するため、維持のための機関が機能しない場合、臨時的な治安維持司令部を作り、そこに長官を置くことで、その長官の判断で、国民の権利として認められていることを、一時期制限して、最優先で、治安を維持する」
という状態を発令するのを、
「戒厳令」
というのだ。
ただ、日本には、
「戦争はないとしても、自然災害は起こりえる」
というわけで、実際に、
「関東大震災などでは、戒厳司令部が活躍した」
ということもあったのだ。
それを考えると、
「戒厳令」
というものは、必要ではないか?
ということになるのだろうが、今の日本国憲法では、
「主権は国民」
であり、
「基本的人権」
というものが保障されているわけだということで、
「平和主義」
という前提の下に、戒厳令を持たない状態で、国民の自由を何があっても、制限してはいけないということになるだろう。
もちろん、犯罪を犯したものを処罰したり、自由を拘束するということは、
「公然の秩序を守る」
という意味で、制限はするが、それも、
「基本的人権が守られたうえで」
ということである。
これは、いくら殺人犯であっても、同じことであり、
「服役して、罪を償って刑期を終え、出てくる」
ということであれば、
「社会は、彼らを受け入れなければいけない」
ということになるだろう。
しかし、実際には、そうもいかない。
「やつは、元殺人犯だ」
ということが分かれば、簡単に、社会は受け入れてはくれない。
実際に、刑期を終えた人間の過去を明かすというのは、
「プライバシーの侵害」
ということになり、個人情報を明かすことは、誰であってもしてはいけないということになるのだ。
「犯人逮捕のため」
ということで、全国に指名手配をするのも致し方がないということであり、そもそもその理由として、
「容疑者が、証拠隠滅を図ったり、海外逃亡などということになると、さらに新たな犠牲が生まれる」
であったり、
「自殺をするかも知れない」
という観点から、
「早期逮捕が必要不可欠」
と判断した場合などは、
「全国指名手配」
ということもやむを得ないといえるだろう。
もちろん、そのためには、きちんとした事務手続きが必要で、指名手配の理由も、当然前述のようなれっきとした理由が必要になってくるということである。
日本において、
「日本の警察は世界一優秀だ」
と言われたり、
「日本の都市は、世界一治安がしっかりしていて、安全なところだ」
というのも、最近では、
「都市伝説化している」
といってもいいだろう。
何といっても、
「テロといってもいいような、カルト宗教集団によって、サリンなどの神経性の毒ガスがばらまかれた」
ということがあった国である。
今では、定期的といってもいいくらいに、電車の中であったり、真昼間の繁華街で、ナイフを振り回したり、猟銃を撃ったりするという、まるで
「無法地帯」
といってもいいような犯罪が行われるようになったのだ。
これは、
「警察の威信がなくなった」
ということなのか、ただ、
「犯罪の凶悪化」
ということなのか、判断が難しいところである。
そんな日本で、緊急事態宣言というものが発令されても、明らかに海外の
「都市封鎖」
と言われる、
「ロックダウン」
とはレベルが違うのだ。
ロックダウンというのは、本当に、
「都市を封鎖する」
ということで、外出禁止令というものは、表を歩いていると、逮捕されるか、罰金刑になるかというもので、それこそ、外出許可書のような、
「やむを得ず発行される」
というものがなければ、情け容赦ないということになる。
日本の場合は、あくまでも、
「要請」
という形で、
「命令」
ではないのだ。
だから、外出禁止要請ということで、もし、外出をしても、逮捕されることも、罰金を食らうということもないのだ。
それは、憲法で、
「基本的人権」
というものが保障されていて、
「憲法は、緊急事態宣言のような、特別法に近いようなものが犯すことのできないもの」
ということになるので、日本において、
「憲法の三大原則」
と言われる、
「国民主権」
「基本的人権の保障」
「平和主義」
というものは、崩してはいけないものだということだ。
「だったら、自衛隊は?」
ということになるのだろうが、それも、大きな問題となることだろう。
だから、ずっと、
「憲法改正義議論」
というものがあるわけで、特にその代表が、
「平和憲法としての、第9条」
というものが問題になってくるのであった。
そもそも、
「平和憲法というものがあるはずなのに、自衛隊などというものが存在しているのっておかしくないのか?」
ということであるが、
日本が、占領されている間に、朝鮮半島で、分割統治されていた、南北で、それぞれに、
「独立国家」
というものが建国され、お互いに、
「統一国家」
というものを考えていたのだが、それぞれが、まったく異なった主義の国家だったことで、
「お互いに、武力による統一」
というものを目指したことで、それが、
「朝鮮戦争」
という形で、表面化してしまったのだ。
アメリカを中心とする民主主義陣営とすれば、
「北朝鮮が攻めてくることはない」
とタカをくくっていた。
というのも、
「北朝鮮も、支援する中国も建国まもなく、ソ連にお願いしても、核戦争という懸念がある」
ということで、戦争には消極的だということが分かっていたので、
「攻めてくることはない」
と考えていたのだろう。
だが、実際には、ソ連は中国に対して、
「危なくなったら、加勢しろ」
といっていたのかも知れない。
それなりに、武器の供与というのもあり、実際には、大きく関与してくることになるのだ。
しかし、アメリカはなぜか、韓国に対して、ほとんど武器を供与することはなかった。
「北が攻めてくることはない」
と完全に思っていたからなのかも知れないが、武器弾薬の数はほとんどなく、あったとしても、
「旧日本本軍である、関東軍が残していったもの」
というのがほとんどだった。
性能はいいのだろうが、何しろ旧式であり、北朝鮮側は、ソ連や中国から、武器弾薬を調達できていて、さらには、顧問などを雇い、軍事訓練も頻繁に行っていたので、
「精鋭部隊」
で成り立っていたのである。
そんな北朝鮮軍なので、韓国軍のように、
「ほとんど、丸腰」
といってもいいような装備で、果たして、
「何ができる」
というのか、
だから、攻め込んできた北朝鮮軍に対して、無抵抗状態で、ソウルを3日で占拠されるということになったのだ。
その後、慌てた国連軍が、
「仁川上陸作戦」
というものを成功させ、電撃戦によって、北部に北朝鮮軍を追い詰めるところまで行ったのだが、何とそこで、
「中国の人民解放軍」
が介入してきたのだ。
数百万という、
「人数にものを言わせた人海戦術」
において、逆に優勢になった北朝鮮は、プサンあたりまで侵攻し、それを、国連軍が押し返すような、いわゆる、
「アコーディオン状態」
ということになり、戦争は膠着状態になった。
結局、休戦が持ち込まれ、
「講和条約が結ばれるか」
と思ったのだが、実際には、持ち込まれることはなかった。
それは、何と反対した国があったからだ。
「あくまでも、武力による朝鮮の統一」
を掲げた国として、韓国が講和はしないということになったのだ。
だから、
「南北朝鮮は、いまだ休戦状態」
ということであり、いつ、どちらかが侵攻してきてもおかしくない状態ということになっている。
それが、今でも続く、
「朝鮮問題」
ということになるのだろう。
北朝鮮というのは、
「ソ連の崩壊」
の後も、社会主義よりの国家であり、核開発などにより、世界から孤立しているのである。
というのも、ソ連や、中国や、結局、歩み寄ったために、戦争を吹っかけられた、
「リビア」
のようになりかねないということで、
「核開発」
に舵を取るしかないのであった。
アメリカを特に敵視し、アラブ国家とは違う意味での、敵退意識を持っているということになるのだ。
ただ、北朝鮮という国は、日本や韓国やアメリカなどの国からは、
「国家として承認しない」
ということで、
「国交を断絶」
しているが、それ以外のほとんどの国からは、国家として承認されていて、貿易も行われているのである。
それを考えると、
「日本の国家」
というのは、本当に正しいのだろうか?
と考えさせられるというものだ。
特に、2年前くらいから戦闘状態にある国家に対して、
「見返りもないのに」
ということでもあるのに、
「ポンと大金を寄付している」
ということだ。
確かに、
「侵攻された国」
ということで、同情の余地はあるだろうが、戦争をしている国を停戦にもっていかせなければいけない立場で、大金を寄付するということは、
「武器弾薬のために寄付した」
と思われても仕方がない。
「戦争放棄である、平和主義国家」
のすることであろうか?
しかも、
「戦闘状態にある国の片方の肩を持つということは、相手国からすれば、敵国とみなされても仕方がない」
それを分かっているのかいないのか、政府は、自分たちの売名行為から、国家予算を、
「寄付に浸かっている」
というわけだ。
その金は、
「政治家のポケットマネーでもなんでもない」
あくまでも、元々は、
「国民の国税」
なのである。
それを政府は勝手に国民に問うこともなく、まるで
「当たり前のこととして寄付する」
ということなのだ。
世間は、
「世界的なパンデミック」
というのがまだ収まらない状態で、会社がどんどん倒産していき。国民が職を追われているという状態でも、それを放っておいて、他の国に寄付しているわけだ。
「家族が困っているのに、どこかに寄付をする」
というのと同じではないか。
一般的にそんなバカなことをする人がいるというのか>
実に信じられない状況である。
何といっても、
「日本は、借金だらけの国で、血を流しながら、何とか生きている状態」
だというのに、それこそ、
「血税」
を自分たち政治家の売名行為だけのために、国民の許しも得ずに使われては、そんな状態を誰が許すというのだろう?
それを思えば、
「日本は秩序のない国になってしまった」
ということであろう。
いや、今に始まったことではないかも知れないが、ここまで露骨な政治をしていて、しかも、まだ、その政権が現役というのだから、
「どこが、法治国家で、民主国家だというのだ」
ということである。
これでは、本当に、
「独裁国家ではないか?」
ということである。
今の政府は、その頃の政府や軍部に比べると、臨場感がないせいか、
「まったく緊張感がない」
といってもいい。
何といっても、
「有事になれば、政権の支持率というのは、少々悪くても、少しは上がる」
と言われている。
ひどい政府であっても、
「皆で危機を乗り越える」
という意識を持っていることで、国家の体制を維持するために、
「挙国一致」
という意識から、上がるものである。
昭和の混乱の時代には、日本の内閣も、
「挙国一致内閣」
ということで、
「一丸となって、国難を突破する」
ということになっていたというのだ。
しかし、この、
「世界的なパンデミック」
の時、全世界での政党支持率は、なるほど、
「ほとんどの国は上がっていた」
ということだ。
しかし、世界で、たった2国だけ、支持率が上がらなかった。
一つは、今回のパンデミックを、
「風邪と同じ」
といって、対策を何も取らなかったことで、完全に、国内が混乱するに至ってしまったという政府だった。
もう一つは、
「日本であった」
日本は、有事がないということで、国民自体に、そこまで危機感がないということなのかも知れないが、
「第二次世界大戦以来の大事件」
ということなのに、日本は、政権支持率が下がるというのは、本当によっぽどのことだといってもいいだろう。
そんな国家が、政権支持率が上がらないことに対して、どう感じていたというのだろうか?
「どうせ、外国の調査ということで、国内で少し下がったくらいなので、それほど気にすることはない」
ということだとすれば、それは、明らかに、
「国民を甘く見ている」
といってもいいだろう。
政府というものが、国家において、
「どのような重要な地位にあるのか?」
ということを分かっていない証拠といえるのではないだろうか?
ただ、一つ言えることは、
「いくら慣れていないとはいえ、国民も政府も、異常ではないか?」
という考えであった。
日本という国というものを、他の国がどう見ているかということを果たしてどう見ているかというのである。
「金持ちな国だ」
と見ているか?
もしそうだとすれば、
「戦争に負けたくせに、どうして、そんなに金持ちなんだ?」
と思うかも知れないが、実際には、そんな国ではない。
「何世代に掛けても、返しきれないだけの借金を背負っていて、国民は、血を流しながら暮らしている」
という国であった。
その証拠に、
「給料は上がらない。税金はどんどん高くなる」
という状態で、さらに、
「医療費はどんどん上がるし、福祉は最悪になってくる」
ということで、何もいいことはない。
「年齢を重ねれば重ねるほど、暮らしはできなくなる」
ということで、
「現代の姥捨て山」
という状態である。
定年も、最初は55歳だった。
それは、昭和までに、定年を迎えた人のほとんどはそうだっただろう。
その時代は、治療費もほとんどが保険から払われるという時代で、
「初診料だけで、あとはお金がいらない」
というのが、風邪を引いた時などであった。
しかも、保険料は、
「被保険者」
であれば、1割負担で、
「扶養者」
であれば、3割という時代となり、今では、
「被保険者であっても、3割」
ということになったのだ。
昔だったら、
「風邪を引いたら、病院で点滴を打ってもらえばいい」
ということだっただろう。
「市販の風邪薬を買うよりもmよほど安上がりだ」
ということだったからである。
しかも、薬というと、会社によっては、
「常備薬は、会社から支給される」
という会社もあったくらいで、当時の日本は、
「福祉に、キチンと税金が使われていた」
というわけである。
しかし、べブル崩壊からこっち、もっとひどいことになり、
「病院に行くのは、お金も無駄だし時間も無駄」
ということで、誰もいかなくなってしまったといってもいいだろう。
今の日本が腐ってしまったというのは、ある意味、
「何かの伝染病ではないか?」
と考えるのは、おかしなことであろうか?
定期的に、世界では、伝染病が蔓延り、日本には入ってこない。
それは、
「本当は入ってきているのに、誰も気づいていないのではないか?」
ということである。
「病気が移っていないというわけではなく、本当は移っているのに、誰も気づかないだけでは?」
ということであり、
身体への病気であれば、気づかないということはないだろう。
それが気づかない人がいるということは、
「身体ではなく、精神であったり、頭の病気なのかも知れない」
といえる。
それが、
「精神疾患」
というものであったりするのではないだろうか?
確かに、昔はなかったものが最近では、どんどん増えている。
実際に、以前から海外では言われていた精神疾患が、最近は日本でも言われるようになってきたではないか?
それは、
「日本人には、移らない」
ということなのか?
「日本人には、伝染はするが、だからといって、すぐに発症するものではなく、発症すると、伝染のスピードがかなり速いということで、
「まさか、伝染するものだ」
という意識はなかったのかも知れない。
どうしても、インテリ気質の日本人は、そういう発想には柔軟にはなれないのかも知れない。
それが日本人というものであろう。
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