第7話 不思議と52ヘルツ
チャイムを鳴らすとピンポーンという音が
辺りに響き渡る。
少し時間が経った後、
「..三樂さん?どうしたました?」
と昨日とは違う呼び名で私を呼ぶ空くんの姿がドアの先から出てきた。
「昨日ってさ何してたの?」
「昨日ですか?家に居ましたけど..」
家に居た?
「本当に?」
「線路のとことか行ってない?」
「本当です..」
「線路にも行ってないですし..」
「..何かあったんですか?」
少し不安げな顔をしながら、
私の顔を覗き込む。
じゃあ昨日会った人は誰?
「あの..三樂さん?大丈夫ですか..?」
「あ、全然大丈夫だよ!!」
「ちょっと用事出来たからじゃあね!!」
そう言って家に帰る。
明日、休日だし線路に行ってみようかな。
朝起きると、またクジラの声が聞こえる。
なんだか悲しんでいるような、
誰かを呼んでいるような、そんな感じがした。
そういえば私、クジラのこと何も知らないな。
そう思い、ネットで調べる。
何かわかるかもしれないし。
だけど大したことは出てこなかった。
スマホの画面を下にスクロールしていると
『52ヘルツのクジラ』という単語が目に入る。
タップすると52ヘルツのクジラについての
詳細が出てきた。
52ヘルツのクジラは他のクジラの周波数と違うため、
いくら大声を上げたとて仲間のクジラには聞こえない。
そのため、世界で1番孤独なクジラと呼ばれている。
姿は発見出来ておらず、
声だけが発見されているという。
52ヘルツのクジラの鳴き声を聞いてみたが、
私が聞いた声とは全く違う低い声だった。
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