おっさん珍道中7 ~ある夢遊病者の逃亡~

紫音

彷徨い

第1話 無意識の行動

知らぬうちに冷蔵庫の中が荒らされている。盗難か?いや、夜はきちんと鍵を掛けておいた。


不思議な事は翌日も続いた。

冷蔵庫が荒らされ、その上料理をした形跡もある。一体誰が?

私は手っ取り早く解決するため、隠しカメラを仕掛けた。とはいえ、キッチンから冷蔵庫が写る程度の範囲のハンディカメラである。充電をし、三脚にカメラを取り付け固定した。眠気が襲ってきた。カメラのスイッチを押し録画状態を確認。

二階に上がり布団に潜り込む。


翌朝、ハンディカメラは異常無くそこにあった。間抜けな犯人である。もしくは気づいて何もしなかったか。何をするにもまずは確認してからだ。私はカメラを三脚から外した。一晩録画を回したっきりだ。充電をしなければ再生も出来ない。充電しつつ冷蔵庫を確認する。今日も見事に荒らされている。玄関にも仕掛けるべきだったか。というか、よくこんな無防備に荒らしていくものだ。横をチラッと見ればカメラがあることぐらいは気づくだろうに。


充電が半分くらいになった。さてさて、真犯人のお出ましだ。私は早速カメラを再生する。真っ暗だ。最初の方は特に何も写っていない。しかし、それは2時過ぎに写っていた。

暗い部屋に何かの影が写る。影が冷蔵庫に近づいていく。冷蔵庫を開けて中の物をがっついている。扉が邪魔で見えづらい。しかし、それは確かに私だった。


口の周りは食べかすがついている。食べかすは口の周りだけではなく、手、衣服、床、冷蔵庫の取っ手など至るところにつき、汚いことこの上ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る