お願い神様
とてつもないあい
お願い神様
君は神様だった。たしかに、神様だった。くらくて、さむくて、さびしくて、こわいところから、わたしを掬い出してくれたよ。救い出してくれたよ。わたしは君の、やさしい声とか、甘い言葉とか、愛しそうな笑顔とかで、何度も何度も心をなおしてもらっていたけど、わたしは君になにをしてあげられたかなあ。君は、わたしの吐く言葉で何を思った?ねえいま、なにを考えてるの。ねえ、君のほんとうの心は、わたしをどうおもっているの。だいすきだよ。それすらも重荷になってしまうのかなあ。わたしの吐いた息は君のことをくるしめる二酸化炭素だけだったのかなあ。ずっと、ずっと、高いところで泣いている君を、わたしは掬い上げることはできないけど、ひきずりおろしかけていたこの手を切り落とすことはできるよ。君が、君を愛せるように、わたしは、わたしを殺したい。君の笑い声だけを思い出として大切にしたいのに、君の泣き声しか思い出せないや。くやしいなあ。君は神様だけど、救いを義務にしないで。君が傷つくことを、あたりまえにしないで。君が君を傷つけた数だけ、わたしが抱きしめてあげたかったけど、わたしのぬくもりだけじゃ君の心を溶かしてあげられなかったね。末端冷え性だからだよって冗談混じりに繋いでくれかけた手を、少し強引に振り払ってごめんね。ごめんね。たった数秒目が合っただけで、君の幸せがわたしの幸せになったんだよ。君が、わたしを救い続けることで、君が、幸せになれないなら、どうか、どうか、わたしのしらないどこかで、どうか、わらっていてほしい。眠い時は絵文字が減るとか、怒ってるときは口が悪くなるとか、嬉しい時はたくさん喋るとか、自分のことが大嫌いとか、わたしを信じてないとか、世界を信じてないとか、全部全部が愛おしかった。綺麗だとおもった。綺麗な君が、わたしの汚い感情で汚されるまえに死ねてよかった。綺麗な君が、わたしの汚い身体に触れる前に死ねてよかった。綺麗な君に、どうか、笑顔の瞬間が増えますように。どうか、悲しい夜に涙を拭いてくれる誰かが現れますように。どうか、今わたしの目に溢れるこの涙が止まりませんように。どうか、わたしの唯一の綺麗なきもちが止まりませんように。どうか、君がわたしを忘れますように。
お願い神様 とてつもないあい @nzxzxz
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