5
「投票終了。」
無機質な声が部屋中に響き渡る。ホログラムスクリーンが再び点灯し、全員の匿名投票の結果が集計される。
緊張感に包まれる中、スクリーンには次のような結果が表示された──
課題5 投票結果
プレイヤー番号 得票数
アキラ(1) 2票
ケンタ(10) 3票
ユウスケ(4) 1票
レンジ(9) 2票
サクラ(2) 0票
ショウ(7) 3票
「責任者: ケンタ(10) & ショウ(7)」
「得票数が同数となったため、両者が責任者に指定されます。」
その言葉に、部屋の空気がさらに張り詰める。
ケンタの怒り
「ふざけんな!なんで俺が選ばれるんだよ!」
ケンタ(10)は拳を机に叩きつけ、憤怒の表情を浮かべた。「俺はあの課題で何もミスしてねえ!」
「自分ではそう思ってても、他の奴らがそう見てたんだろうな。」
カズキ(5)が冷ややかに言った。「お前は態度が軽すぎる。そういうのが信用を失わせる。」
「おい、俺に直接文句があるなら言えよ!」
ケンタはカズキに詰め寄ったが、レンジ(9)が間に入った。
「やめろ。」
レンジは低く言った。「ここで揉めても、失う記憶が増えるだけだ。」
一方で、ショウ(7)は無言のままスクリーンを見つめていた。
ショウの静かな受容
「何か言ったらどうだ?」
ユウスケ(4)が眉をひそめた。「責任を取らされるんだぞ。」
「俺は納得している。」
ショウは短く答えた。「課題が失敗したのは、俺たち全員の責任だ。ただ、俺が責任を背負うことで次に進めるなら、それでいい。」
その言葉に、場の空気がわずかに緩む。
「…カッコつけやがって。」
ケンタが鼻を鳴らしたが、それ以上は何も言わなかった。
ペナルティの執行
「責任者に選ばれた2名に、記憶の喪失ペナルティを適用する。」
ホログラムスクリーンに、ケンタとショウの記憶喪失状況が表示される。
プレイヤー番号 記憶喪失
ケンタ(10) -3
ショウ(7) -3
ケンタの混乱
「…何だ、これは…?」
ケンタが頭を抱え、立ち上がる。「何か…大事なものが…消えた…。」
「おい、大丈夫か?」
ミカ(3)が声をかけるが、ケンタは振り払うように手を上げた。
「近寄るな!お前も俺から何かを奪ったんだろう!」
その叫びに、部屋中が凍りつく。
「ケンタ、落ち着け。」
アキラ(1)が冷静に声をかけたが、ケンタは壁際まで後退し、怯えた表情を浮かべる。
「…俺は…忘れたくなかった…。」
ショウの静かな異変
一方で、ショウもまた静かに目を閉じ、拳を握りしめていた。
「…俺が守ろうとしたものは、何だったんだ?」
その独り言に誰も答えることはできなかった。
『モニタリングルーム』
巨大なスクリーンには、動揺するケンタと沈黙するショウの姿が映し出されていた。
「ケンタが限界に近づいてきたな。」
「ショウも静かだが、あの目は危険だ。次の課題で爆発するかもしれない。」
「次の展開がさらに楽しみだ。」
主催者は薄く笑った。「課題5は終わったが、次の課題でさらに揺さぶりをかける。」
◇◇◇◇◇
「課題6は開始されました。」
無機質な声が部屋に響き渡り、ホログラムスクリーンが再び明るく輝く。
「課題6: 記憶の鍵」
その文字を見上げる参加者たちの表情には、これまで以上の緊張感と恐怖が浮かんでいた。
課題の目的
チームで「記憶の鍵」を集め、全体で1つの真実を解明する。
各プレイヤーが持つ記憶の断片を元に、鍵を組み合わせて真実を導き出す。
課題のルール
記憶の鍵の取得
各プレイヤーには、ゲーム開始時に1つの「記憶の鍵」が配布される。
鍵は個々の記憶に関連した断片的な情報。
鍵の開示条件
プレイヤー同士の合意によって、記憶の鍵を開示できる。
開示しない場合、鍵は次の課題終了までロックされる。
成功条件
全員の鍵を揃え、真実を導き出す。
裏切り者の役割
裏切り者は、チームが鍵を揃えるのを妨害しつつ、個別に与えられる「偽の鍵」を混ぜて混乱を誘発する。
ペナルティ
成功: 全員に記憶1つ返還。次の課題のヒントが得られる。
失敗: 全員が記憶を -2 喪失。
「鍵を開示することで、自分の過去が晒される可能性がある。」
「その恐怖を乗り越えるか否かが、この課題の鍵となる。」
揺れるチームの絆
「また面倒な課題だな…。」
ユウスケ(4)が腕を組み、スクリーンを見上げた。「鍵を開示しなければ進まないが、全員がそれに協力するかどうか…。」
「どうせ裏切り者が紛れてるんだろ?」
ケンタ(10)が憎々しげに呟いた。「誰が鍵を開けて誰が嘘をついてるのか、どうやって判断するんだよ。」
「疑うことをやめたら、この課題は即失敗だ。」
レンジ(9)が冷静に分析する。「全員の鍵が揃わなければ真実には辿り着けない。」
「でも…怖いよ。」
サクラ(2)は怯えたように言った。「自分の鍵を見せたら、何か悪いことが起きそうで…。」
議論と駆け引きの開始
1. アキラの提案
「まず、全員が持つ鍵の内容を話そう。」
アキラ(1)が静かに言った。「ただし、完全に開示する必要はない。概要だけを共有するんだ。」
「それじゃ隠してる奴が得をするだけだろ。」
カズキ(5)が冷ややかに返す。「裏切り者が嘘の情報を混ぜても分からない。」
「それでも、何もしないよりはマシだ。」
アキラは揺るがない目で言った。「俺たち全員が信じ合わなければ、成功はない。」
2. ケンタの異常行動
「信じるだと? 笑わせるな!」
ケンタ(10)が突然立ち上がり、叫び声を上げた。「お前ら全員、俺をハメようとしてるんだろ!」
「ケンタ、落ち着け!」
ユウスケが声をかけるが、ケンタは壁に拳を叩きつけながら振り向く。
「落ち着けだと? 俺の記憶はどんどん消されていくんだ! お前らが裏切ってるからだ!」
部屋の空気がピリピリと張り詰める。
3. ショウの提案
「俺の鍵を開示する。」
ショウ(7)が静かに手を挙げた。
「何だと?」
レンジが目を細めた。「自分の過去を晒すのか?」
「今はチームのために動くべきだ。」
ショウは淡々と語る。「全員が同じ恐怖を抱えているなら、誰かが先に動く必要がある。」
その言葉に、他の参加者たちが息を呑んだ。
鍵の開示と真実の一部
ショウが自分の鍵を開示すると、スクリーンに彼の過去の一部が表示される。
「ショウは、暴力団の幹部を自らの手で殺害した。」
「…そうだったのか。」
アキラが小さく呟いた。「お前も過去に囚われているんだな。」
「俺はもう逃げない。」
ショウは静かにそう答えた。「他の奴らも、そろそろ動いてくれ。」
残り時間、10分
無機質な声が告げる。
全員がショウに倣うか、それとも疑心暗鬼に陥るか──課題6の成否がかかった緊迫した空気が部屋を支配していた。
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