第4話 りるる とクリスマスパーティー

りるる は朱色のドレスの上に、モフモフ と言う動物の毛で作られた、赤い色の温かコートを着て、足許はブラウン色の皮のブーツを履いて、シナモン の実家兼レストランカフェのアップルミントへと足早に向かっていた。


「大丈夫かな?、まだ、パーティー始まっていないよね?」


と、誰にともなく独り言の様に りるる がその気持ちを言葉にすると、


「先程、見て参りました。まだまだパーティーは始まっておりません、時間の余裕は充分にありますよ。」


「そうですよ、りるる様は少々、慌て過ぎです。」


と、何処からともなく、りるるの問いに応える二人の少々の声がし


やがて、その声の主達、小さな妖精 ゆう と まい がその姿を現した。双子の妖精達は背中にある羽をバタバタと羽ばたかせながら、りるる の顔の左右を挟む様なして併走して飛んでいた。


ゆう は ショートカットで濃紺の髪型で、済んだ様に白い肌を持つ顔には瑠璃に輝く瞳を釣り目がちにしているその顔立ちは気の強さを現していた。


一方で、まい は姉と同じ血色の肌と瞳と髪を持っているが、やや垂れ目がちのおっとり系で、風になびく紺色の長い髪は髪留めで結ったポニーテールの髪型を作っていた。


服装は二人共に草色のフェリードレスを着、足元は同じ色のブーツを履いていた。


しかし、二人の意見は飽くまでも人間とは違う時間の感覚で りるる に 大丈夫 と伝えて来ていた。


それ故に りるる は


『あぁ……コレはダメだ。多分、二人の意見は当てにならないわ……』


と、遅れまいと必死になっていた、りるる は更なる焦りを覚え


「私の沢山の友達が待っているの!。どうしても間に合わないとイケないの!人と私たちの時間の流れは違うの!」


と、二人の妖精達に向かって声を上げた。


双子の妖精達は今までに、こんなに何かに必死になっている、りるる の姿を目にした事が無かった。


しかも、魔法を使わずに 人間 としての姿では。


過去には一度も見た事が無く、妖精達はその事に目を丸くして驚き、お互いに唖然とした様子で顔を向き合わせていた。


必死に走る りるる は要約、レストカフェ 『アップルミント』

に辿り着いた


夜の商店街、石畳の街道は今の時間は人通りが少なく静けさの中に佇んでいた。りるる はその街道が東西南北へと伸びている、十字路に辿り着いた。その十字路の南側を真っ直ぐに進んでしばらく行くと、やがてその左側に アップルミント を望む事が出来た。


りるる はその十字路を南に向かって必死に駆けて行った。


ややあって、アップルミント に着いた、りるる は


「ハァハァ……」


と、まずは自身の息遣いを落ち着かせ

それから、履いているブーツを魔法を使って、ワインレッドで淵に小さな白い色のリボン付いたの可愛らしいパンプスへと変化させてから


「ふぅ…」


と、一息を吐いて


そして


ゆう と まい が自分の傍から姿を消し隠すのを見てから


店の扉に手を掛けてその扉を外側へと開いた。


すると


「あっ!、りるる なのだ!、りるる が来たのだ!」


と、みなな が歓喜の声を上げ


続いて


「おっ!、来た来た、待ちかねていたぞ!」


と、シナモン が嬉しげにそうって、りるる を出迎え


更には


「どれだけ人を待たせるのよ全く!」


と、照れ隠しの憎まれ口を叩いて来た。


だが、みんなは りるる がやって来た事を大変に喜んでいた。


そんな、みんなの笑顔を目にした りるる も緊張の漂っていたその顔を自然に綻ばせ、笑顔で皆に向かって


「ゴメンね、ちょっと遅くなっちゃって」


とその嬉しさを隠さずに総合応えた。




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