第8話 お前らに本物の化け学を見せてやる!
屋敷のみんなが寝静まり、俺は大量のヤモリ、イモリ、ヘビの干物、体力回復に『ポーション』を携え、ご主人様の寝顔を見る。
『明日になればすべて変わる。ご主人様のイキイキと生きていける世界に、俺は命を掛けても変えてやる! ご主人様、今までありがとう。俺を助けてくれてありがとう!』
俺は、ご主人様に最後の別れを告げ、屋敷を出た……
今夜が俺の最後の変体になるだろう。 ご主人様の為なら悔いはない! ご主人様を侮辱したヤツらの魔力は全員覚えている……
『お前らに本物の化け学を見せてやる!』
俺はヤツらの魔力を頼りに、一軒づつヤツらの屋敷に向かう。
――最初は主犯格の娘の屋敷だ!
『確か、クタレス・ボンビーヌとか言うヤツだったな』
クタレス・ボンビーヌの屋敷に着いた。
俺はその場に二足で立ち、両腕を斜め上に広げ、右腕を時計回りに回し、左腕は逆時計回りに回して、左右交差させながら元の位置に戻す
『へ~ん・たい<変体>!』
両腕を両腰に添える。
『トォッ!』
白い煙が立ちこめる。そして、煙が消散しそこに現れたのは……
『オーク・ジェネラルキング』! オーク種の中でも最上位種だ!
イギリス紳士のように立ち、最後にいつものように決めゼリフで決める。
「さぁ、
クタレスの寝室にガラスを割り突入する! ガラスの割れる音に気付きクタレスは飛び起きた。
「――!? ギャァァァァァァッー!」
俺の姿を見てクタレスの叫ぶ、顔は恐怖のあまり引き攣りブルブルと震えていた。
俺はオーク・ジェネラルキングの姿のまま、ヤツに向かって言い放つ。
「お前が犯した罪を返しに来た! 楽に死ねるとは思うなよ!」
クタレスは俺の言葉を聞き、慌てた様子で爆裂魔法の詠唱を唱え始めた。
「爆裂の炎よ 我が名において契約す
「火の神よ 我が願い 聞き届けよ
クタレスは俺に向けて爆裂魔法と火炎魔法を放ってきたが、恐怖の
『ズッドォォォォォン!』
爆裂魔法と火炎魔法は、俺を通り抜け屋敷の壁に直撃し、屋敷の壁を粉々に破壊した。
それでもクタレスは諦めずに何度も爆裂魔法と火炎魔法の詠唱を唱える。
「爆裂の炎よ 我が名において契約す
「火の神よ 我が願い 聞き届けよ
何度も魔法を発動したが、俺には当たらないし、攻撃は効かない。
俺が使った術は『幻影の術』だ!
クタレスには目の前にオーク・ジェネラルキングの姿は見えるが俺は違う場所で術と使っている。
天才たぬきの俺には『幻影の術』、『実体の術』などさまざまな『術』が使えるが、幻影の術は魔力の消費が著しく激しい。
クタレスは俺に攻撃魔法が効かない事を悟ると、絶望的な状況にガタガタを震えだし、最後には失禁の為か、周りに水たまりを作っていた。 ――少し匂う……
「クタレス!無事か? 何事が起きたんだ!」
「クタレスお嬢様! ご無事ですか!」
クタレスの
「――――――!?」
「キャァァァァァァー!」
「何故!? オーク・ジェネラルキングが…… こんなところに……」
オーク・ジェネラルキングの姿を見て、泣き叫ぶ者、恐怖で失禁する者、脱糞する者も居た。 ――大分臭くなった……
「誰か! 私の剣を持って来い! 私自ら討伐してくれよお!」
中には剣を持ち攻撃をしようとする強者もいたが、俺の敵では無かった。
「どういうことだ! 我が剣が通じぬ! 私は夢でも見ているのか!? お前たちも私を援護しろ!」
クタレスの
「あわわわわわわわ……」
使用人たちは腰が抜けて動けない。終いには四つん這いになりながら逃げだした。
「爆裂の炎よ 我が名において契約す
最後に残ったクタレスの
「私の命はお前にやる! 娘の命だけは助けてくれ! 頼む! 私の最後の頼みだ!」
クタレスの
甘いと思われるが、俺は命まで取ろうとは思わない。ここで死者を出したらご主人様の相手の事まで慈悲を向ける想いまで無駄にしてしまう。自分の行いに懺悔してくれたらそれで良い……
最後にクタレスだけにはケジメを取らせてもらう……
次回、最終話となります。
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