第2話

「お疲れ様です!」



湊と二人でカフェの開店準備をしていると。



蓮花ちゃんが、元気のいい声と共にお店に入ってきた。



「お疲れ様、蓮花ちゃん。」



「お疲れ様。」



笑顔が可愛い蓮花ちゃんは、この店のアルバイトの子。



数日後に入学式を控える、新大学生だ。



「なんか…おふたりともこうして見ると…ほんとに夫婦みたいですね。」



「そ、そう…?」



カウンターに並んで作業をする私たちを眺めて呟く蓮花ちゃん。



「まぁ、次の春を迎える頃には俺たちも“夫婦”になってることだし。今からそう見えたって別に不思議なことはねぇよな。」



「……っ。」



平然と言い放つ湊に、内心乱されながら私はグラスを並べ始めた。



「あ、そっか。翠さんが大学を卒業したら結婚するんでしたっけ?」



「今のところね。」



なんだか楽しそうに話す蓮花ちゃんに苦笑いしつつ会話に参加する。



「ふふっ、相変わらず仲良しですね〜。私、店先の掃除してきますね。」



蓮花ちゃんはニヤニヤしながらそう言って、ほうきを持って店を出ていってしまった。



「はぁ…蓮花ちゃん、最近ちょっと意地悪じゃない?」



「…そうかもな。」

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