エマージェンシーのび太・のび

エグジット

　太平洋の海は暗く、沈黙していた。水深 500 メートルを航行するフレンドシップ号は、鋼鉄の巨体を軋ませながら深海を進む。指令室のホログラムには、世界地図といくつもの異常な座標が浮かび上がっていた。

　出木杉英才は、白衣の裾を翻しながらその座標を見つめる。

「次元の歪みが拡大している……予測よりも速い」

　彼は端末を操作し、計算結果を確認する。安雄がこの世界を食らおうとしているのは確かだった。

　その時、警報が鳴り響いた。

「侵入者……！？　ありえない、この深度で！」

　部下の声が震える。モニターには、格納庫の防衛システムが異常を検知した警告が表示されていた。

　数秒後、艦内が激しく揺れる。

「なかなか大したもんだよ……」出木杉は息を吐く。

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