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「恋ってどんな感じですか?」
私は先輩に質問を投げかける。
友達すら作れない私が恋なんてするかっての。
でも、先輩はそんな質問をした私を信じられないような目で見てきた。
そりゃ、見目麗しゅう先輩の経験値とは雲泥の差に決まってる。
頼むからそんな憐れんだ目で見ないで。
「恋っていうのは、その人のことをたくさん知りたいって思ったりとか、一緒にいたいなって思ったりとか。」
そもそも私、他人にはあまり興味ないみたいだからなぁ。
「へえ。」と適当に相槌を打つと、「興味ないね。」って先輩に笑われた。
興味ないことに耳を傾けない私に、先輩は気を悪くする様子はない。
昔、引っ込み思案な私に話しかけてくれた子がいた。
でも、その子の話は正直興味が無くて、適当に相槌を打っていたら、私と話してもつまらないって言われたことがある。
勝手に話しかけてきたのはそっちじゃん。
それでも、つまらないと言われて、身勝手に傷付いた私もいる。
「先輩は、好きな人いるんですか?」
話の流れでなんとなく先輩に話を振ってみる。
正直あんまり興味ない。
でも、人気者の恋愛事情は学校中の女子たちが喉から手が出るほど欲している情報なのではないだろうか。
こうして晴れた日の昼休み、なぜか数多の女子をそっちのけて、一緒に過ごしている私になら教えてくれるのではって、少しだけ期待した。
「秘密。」
でも、先輩は教えてはくれなかった。
「なんだ。」
少しだけ残念そうなふりをする。
嘘、少しだけ本当に残念だった。
「だって、君あんまり興味ないでしょ?」
呆気なくばれた。
本日二回目。
先輩に興味ないことを指摘されてしまう。
興味があったのは、先輩の恋愛話ではなく、私にその価値ある秘密を教えてくれるかどうかってことだけ。
「はい。」
素直に頷くと先輩は少しだけ拗ねたように「むう。」と唇を尖らせる。
花曇り 藤島花乃 @kano2240
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