白か黒か。
どちらの色となるか?
白の女神と黒の女神の対決にしては、あまりに残酷で自分勝手な勝負。
しかし、もしかしたら私たちの住む世界も本当は似たようなものかもしれません。
黒魔女のリリィが召喚したのは、タカハシさん。召喚されてからも、彼はずっと自分に問いかけています。
すべては計算されているのでしょうか。
緻密な内容に、思考停止してしまっているわたしたちに、何かを訴えているのかもしれません。
時の流れは早く、立ち止まっている暇すらない。
この問題に立ち向かうタカハシさんとリリィさんが行きつく先はどうなっていくのか、じっくりと読みたい作品です。
異世界転生というものもひとつの箱庭、逃避場所としたら?
その逃避場所の、敵たる役割を引き受けた側の気持ちは?
そんな疑問の、ひとつの答えとなる物語かもしれません。
最後の、やや空回りすらしているような正邪それぞれの想いの吐露は圧巻です。
個人的に気になったのは、タカハシの性格。
努力すれど報われないというケースだと、比べる相手が極端に高いとか、目標を高く設定し過ぎるような、実は自分を内心、努力すれば何でも出来る天才だと思っているような傲慢な気質を内に秘めているようなことが多いのでしょうが、そんなこともない普通にイイ奴なんですよね。
それで追いつめられるとか、現世はどんだけ酷い環境にあったんだよ、とつい思ってしまいました。