けっぱれ高専柔道

@kfn

第1話 名古屋大学への入学

 時は平成元年。4月に入った。私は両親と一緒に名古屋に来ている。名古屋大学に受かったのだ。工学部電子機械工学科、エンジニアの玉子である。

 私たちは車で大学の寮までやって来た。二人一部屋の汚い寮だったが、意外と私は気に入ってしまった。近所のデパートで自転車とテレビだけを買って、後は車から降ろしたものを306号室に運んで両親と別れの挨拶をした。両親は長野へと帰っていった。

 私は大学に入っても好きな柔道を続けたかったので、寮の先輩に柔道部を紹介してもらった。柔道場の入り口には何人かの大きな体の人達がトグロを巻いていた。私は極楽トンボなので、簡単に会釈して、「柔道部に入りたいんですが。」と言い放った。そこにいるメンバーは信じられないとゆうような、疑念の眼差しを向けてきた。どうやら自ら柔道部に入ってくるのは珍しいようだ。私は柔道着を黒帯で結び肩にかけた。しばらくすると柔道場の入り口が開いて、道場に入れるようになった。それといっしょに私も道場に入った。

 私は道場の隅で柔道着に着替え、しばらく背負い投げの一人打ち込みをしていた。するとしばらくして90歳にもなるだろうか? 背の低いおじいさんが道場に現れた。そのあと、この老人が名古屋大学柔道部の師範小坂光之助であることがわかった。師範の前に座らされ、対座することとなった。すると、しばらくたって何人か新入生が道場に入ってきた。彼らは私の隣に座らされた。その日はそんな風にして1日が終わった。

 次の日は新歓コンパがあった。私は興味がないので行かなかったが、大変なことになっていたようである。

 次の日、道場に出向くと私のあだ名がきまっていた。「親父」とつけられていた。まあ子供よりはいいか。その日から練習に参加した。乱取りをしてみると、先輩のほとんどが寝技に引き込むのである。これにはびっくりした。この寝技のスタイル正式には高専柔道というものらしい。私は寝技も得意だったので、相手の片足を担いで片足担ぎをして胴体にしがみついた。相手はエビで逃げる。私は胴体に引っ付く。こんなことを、6分もしていると、太鼓の音がして、次の相手を探すことになる。今度の相手は立ち技だった。私は背負い投げをかけるも不発して、相手に上から覆いかぶされそうになり、必死に逃げた。こりゃちょっと背負いは危ないなと思った。背負いは封印して内股に変えた。でも相手は大学生、力が強い。捨て身小内も利かない。防戦一方になり、6分を守り切った。

 つぎは新入生とだった、たしか配島といったか同じような体格の相手だった。くんずほぐれずしているうちに6分が終わった。

 新入生は抜けてもいいというので道場の端に集まった。乱取り6分8本の後に整理体操をして、突き上げ200回をやった。これで練習は終わり。

 練習の後は先輩に晩飯をおごってもらって帰った。

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