(店内)

「うっ、うっ……


 店長が戻りましたら 


 確認させて、いただきますので……」




「ふぅー。


 まったく、泣きゃぁ済むと思ってよぉ!」



「ぐすっ……」



「だいたい、女ってヤツは

 ったくよぉ」



店内は異様な空気になっていた。


見たところ男性は40代後半くらいで、物凄い剣幕で攻め姿勢を緩める様子がなかったので、僕は急いで2人の間にカットインした。




『お客様、話は伺わせていただきました


 この度は大変お待たせしてしまい、誠に申し訳ありませんでした』



「なんだお前

 店長には見えねぇな」



女性店員に向けていた鋭い視線を僕の方に切り替えて、男はそう言った。



この女性店員が例の子なんだな。

一旦、男に背を向けて声を掛ける。



『あとは僕が対応するから、


 休憩室で休んでて?』



「えっ……」



怯えた表情のまま、その子は一歩後ろへ下がった。



「お前もバイトなんだろ?

 いいから店長呼べよ。


 ってか、それがあんたらの誠意ってやつだった?


 あやまりゃそれでこっちが納得するとでも思ってるわけ?


 はぁー、単純だよなぁー

 いいなぁ 本屋は楽でよー」



確かにクレーマーだな、この男は。


誰でもいいから強い言葉でいびってストレスでも発散しているかのようだ。



僕は男の言動を無性に許せないと思った。

こんなに沸々と怒りの感情が湧いてくることに自分でも驚いているけど。




『お客様、大変申し訳ありませんが


 すぐに状況をお調べしますので


 申し訳ありませんが、注文番号を


 お教え願えませんでしょうか』

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