明暗の暗

?/? 孤高と承認

  私は、孤独の人ではない。

 正しくは、孤独を愉しめるような孤高の人ではない。私は自分が何か特別な行動をした時、その幸福を分け与えずにはいられず……、否。正確には、その幸福を誰かに自慢して、その誰かの幸福をその瞬間阻害せずにはいられないのだ。

 私には、最低限の社会への適合のみを残してふらりと独りで居ることが全くできない。

 私は明日、駅前のカフェへ行き、小説を書く。ひとしきり満足したら、その帰り道、デパートのATMでグッズを買うお金を振り込んで、帰路に着く。その時きっと、カフェの中で見た何かを小説に書く。

 秘めやかな孤独は、死んでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る