44話 ちょっとの悪巧み

「まあ、なんとかなって良かったよ」

「ほんと」

 私たち、ホラー部員たちは生徒指導室から教室に戻っている最中だった。須賀はもう少し浜田先生から話があるそうで、私たちは先に帰された。

 あれから話し合いもうまくまとまり、私と須賀は一応罰として、反省文を書いて、明日から1週間、朝のホームルーム30分前に学校に来て校内清掃に励むことなった。プラス、須賀は破った参考書の弁償代を支払うことになった。


「でも、謎だよね」

 辻は話を切り出した。

「うん」

 それに続いて、南も頷く。

「「何が?」」

 鈍い私と米屋は2人に聞いた。

「あそこまであの倉庫にこだわる理由」

 辻は説明した。ああ、確かに言われてみれば。

「そういえば、あいつが何かと突っかかってくるのはあの倉庫がらみだな」

 米屋は思い出して言った。

「あそこに何かあるのかな」

 私はふとそんな考えが浮かんで、口に出した。

「確かに。実は見られちゃいけないものがあるとか」

 南も続けて言った。

「そこには、大量のエロ本があるとか…!?」

 米屋がハッとして言った。ちょっと嬉しそうなのは何故だ。

「それならいいけど」

「え?」

 私は少し含みのある言い方をした南のことが気がかりになった。

「いや、素行の悪さからして、もしかしたらもっとヤバいものがあるかもよ?」

「えー、もしかして、麻薬とか?」

 私は冗談混じりに言ってみた。ところが、私以外のホラー部員はみんな顔を合わせ、神妙な顔をしていた。何気なく言ったけどちょっとあり得そうっていうか、リアリティ生まれちゃって気まずいんですけど!

「てか、実は私まだ諦めきれてないんだ。倉庫の件」

 負けず嫌いな南は言った。

「このまま黙って引き下がるの?私、さっき話し合いしてる時、あいつに主導権握られてる感じすごいむかついた。倉庫をあいつに渡すことは決まっちゃったことだから、しょうがないけど、まだ一応私たちに使う権限は残ってるし、あいつに手が渡るまで、一度でもいいから部室として、倉庫を使ってみたい」

 南は熱烈に話した。

「まあ、確かに潜入捜査がてら、須賀がそこまで倉庫に惹きつけられた理由を探してみたい気持ちはちょっとあるかも」

 辻も、南に賛同した。好奇心が刺激されたのかもしれない。

「まあ、俺もエロ本探しなら協力するぜ」

 米屋は違う意味でノリノリだったが、協力的な姿勢が見えた。私も、まあそれなりに気になったため、少し申し訳なさを抱えながら、私たちは倉庫のお宝探し計画を近々決行することになった。

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