34話 集まった目的

「いやー、食った食った」

 たらふく食べ終わった私たちは一息ついていた。

「よし、じゃあ、そろそろしようか。話し合い」

 南がそう言うと、場に少し緊張感が走った。

「…そうだったね。じゃあ、気を取り直して…」

 私はそう言い、わざとらしい咳払いを一回した。そして、自分の謝るべきことを謝った。それに続いて、米屋、辻、南も謝り、それぞれが許し合った。そこで、辻はとあることを聞いた。

「ごめん、急に話変わるけど、俺が出て行った後、特に先生にも怒られなかったし、皆も気にしてなさそうだったけど、何か理由とかあるのか?ほら、普通は気まずい雰囲気になりそうじゃん」

「ああ、それはね…」

 私は黒崎くんから聞いたことを話した。すると、辻は顔を真っ赤に染めていた。わかるわかる。その気持ち。

「南、ありがとう」

 辻は赤面した顔を仰ぎながら、お礼を言った。

「いえいえ」

「え、待って。それに俺は含まれてる?俺も2人が心配になって、教室抜け出したんだが」

 米屋は聞いた。

「黒崎くんに聞いた感じ、米屋は含まれてなかった気がするんだけど。南、なんかした?」

 私が南に聞くと、南は首を横に振った。

「いや?米屋は特にフォローしなかったね」

「なんでやねん!」

「いや、3人も腹痛は無理があるかなって。それに、メンツを考えると私も腹痛になってないとなんかおかしな気がするし。ああ、でも先生が『あいつもトイレか』みたいな顔してたわ」

「俺、存在感薄くね?」

「まあまあ。じゃあ、それぞれが謝罪を終えた訳だけど…」

 私が様子を伺いながら話していたところ、米屋は突然手を挙げた。何か言いたいことがあるらしく、私は米屋に話を譲った。

「実は、これからどうすべきかの結論、俺と辻はもしかしたら一緒なんじゃないかって思ってるんだけど…」

「俺もそう思う」

 辻も同意した。私と南は首を傾げた。どういうことだ。すると、米屋は突然、辻に向かってジェスチャーをし始めた。どうやら、自分の考えをそれで表して、辻と同じ考えなのか確認したいらしい。辻も最初は突然の行動に驚いていたが、それを見て、顔が明るくなった。どうやら合致したらしい。南も、ああそういうことかとわかったような顔をしていた。自分は…。よくわからなかった。

「いやー、ごめんごめん。お待たせ。じゃあ、俺たちの結論を出すね」

「うん」

 私はドキドキしながら、聞く体勢を整えるべく、姿勢を正した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る