31話 サッカータイム

 学校に着くと、校庭で練習しているサッカー部が熱い試合をしていた。興味がそそられ、私は校庭の端の方でそれを見ることにした。選手たちは冬だと言うのに、半袖、半ズボンの格好で必死に球を奪い合っていた。

 にしても、先ほどまではあんなに焦っていたのにもかかわらず、今、私は呑気にサッカー観戦をしている。

 話は、私が家を飛び出した辺りまで遡る。

『南:わかったー 波はー?』

『波:すぐ行く!待ってろよ!』

 問題はこの後である。これを知ったとき、私は既に学校目前だった。

『南:ああ、別に急がなくてもいいよ。皆、17時半過ぎに集合ねー』

 とんだ早とちりをしてしまったわけである。数十分も前に着いてしまった。

 そんなこともあって、早くに着いてしまった私はのんびりとサッカーを眺めていたのであった。

 おっと、気づいたら、もうゴール寸前のところにボールが来ていた。ゼッケンが赤、青で分かれており、今のところ、赤が優勢のようだ。青キーパーはボールを受け止める準備ができているのか、今か今かとその時を待っていた。しかし、突然それは反対側のゴールの方へ飛んだ行った。青チーム、ナイスアシストである。それを見た選手たちは一斉にボール目掛けて散って行った。飛んで行ったボールを受け止めた青チームの選手は真っ先にゴールに向かって走り出した。中々いい勝負である。

 ところで、今ボールを操る青チームの選手には見覚えがあった。よくよく見ると、それは黒崎くんだった。知り合いであることがわかると、急に試合への熱がヒートアップした。周りの歓声も大きくなってきており、気付けば、他の部活の生徒たちや先生たちも観戦していた。

 結局、青チームが数点差で勝利を納めた。黒崎くんも大いに活躍しており、私は彼の偉大さを知った。

 校庭内ではよっしゃあ!という声声が飛び交っていた。ふと、私は近くにいた先生方の一喜一憂してる様が目に入った。興奮している先生と膝から崩れ落ちる先生がそこにいた。賭け事はダメですよ、先生方。

 休憩タイムに入ったのか、選手たちは校庭内でくつろいでいた。その内、1人はこちらの方目掛けて走ってきた。黒崎くんであった。

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