29話 決意
「Bが急にいなくなっちゃったんだ。理由はわからないけど、夜逃げっていうことが後でわかった。私たちは何も知らなかった。今考えたら、デリケートな問題だから話すのを躊躇ってたのかもしれない。だけど、当時、私たちはBにとって、頼りなくて、信頼できるような関係性じゃなかったのかもって。それで、私たちは思ってたよりも浅い絆だったのかもしれないって考えるようになっていった。争いごとも増えたし、話す機会は減っていった。結局、Aとは自然消滅になって、Cとはあの一件以来から元々気まずかったから、極力話さないようになった」
私はどう反応すればいいかわからず、困った。
「はは。ごめんごめん。重い話して。そんな挙動不審にならなくていいよ。話聞いてほしかっただけだからね」
「そっか」
「うん。それでね、私は決めたの。勿論、Bのような件を防ぐことは難しい。だけど、自分の身勝手な行動に気をつけて、友達を気遣うことはできる。だから、それを心がけようって思った。決意のおかげか、私は楽しい学校生活を送れてる。でも、新たに問題が出てきた」
そう言って、南はこちらをじーっと見た。はい。私のことですよね。
「正直、私は米屋を恋愛対象に見たことはないよ。友達って思ってたから」
「だろうね」
「うん。でも、黒崎くんと南と話して思ったんだ」
「何を?」
「米屋や辻の思いに向き合う必要があるなって。例え、どんな形になったとしても」
南の顔は少し暗くなった。しかし、首を横に振った。どうやら、南も決意したようだった。
「応援してるよ」
南は言った。私は深く頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます