26話 ごもっともです

「実はですね…」

 正直、黒崎くんに話してもいいものなのか自分にもわからなかったが、私だけじゃどう考えてもわからない問題だった。そのため、アドバイスがてら、私は黒崎くんに相談した。

「なるほどね。やっぱ大体思ってた通りだった」

「そっか」

「でも、難しいね。君はどっちも恋愛対象じゃないんでしょ」

「うん」

「聞いた感じ、辻は米屋と付き合いたいとかそういうことは求めてないんでしょ。米屋の方は僕から見たイメージになっちゃうけど、友達のままでいいって感じがするけどね」

「なるほど…。やっぱり、今までみたく、友達って関係性を続けるのは難しいのかな?」

 私はふと黒崎くんに聞いた。すると、彼は私たち2人にしか聞こえない音量で机をバン!と叩いた。そして、言った。

「愚か者め!」

「へ?」

 急に罵られたんだが。何事。

「米屋と辻は今の現状に向き合ってるのに、お前が逃げたら元も子もないでしょうが。お前も向き合わなきゃ」

 黒崎くんはそう言った。確かにその通りだ。今まで通りでいたいなんて現実逃避だし、2人の思いを踏み躙っていて、失礼だ。

「そうだね。私が間違ってたわ」

「うん。わかったなら、よろしい」

 黒崎くんは満足げに言った。

「てか、黒崎くんって意外と思いやりあるんだね。ただの野次馬なんじゃないかってちょっと思ってた部分あったけど、さっきの言葉に感動しちゃったよ、私」

「そんなこと思ってたの!?」

 黒崎くんはしょんぼりとしていた。しかし、すぐ気を取り直して言った。

「まあ、頑張れよ」

 そんな彼に、私はグッドポーズを浮かべながら言った。

「うん。ありがとう」

 そうして、私たちは残りのパンを貪り食った。

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