13話 部室

 私、米屋、辻は部室にいた。部室内はおばや屋敷のようにおどろおどろしいのかと思いきや、案外普通の部屋だった。勿論、ホラー関連のものはそこかしこにあったが、整頓されているが故、あまり恐怖を感じさせなかった。

「南も来たんだね」

 米屋が言うと、南は頷いた。

「うん。せっかく誘ってくれたし、なんか楽しそうだったから」

 そう言って、南は辻に許可をとり、部室にあったホラー小説を読んでいた。私も先ほど辻が読んでいたホラー雑誌のページをパラパラめくっていた。米屋は、なんだかそわそわした様子で部室内をキョロキョロしていた。挙動不審で、よっぽどこのホラー雑誌より米屋の方が不気味だ。

「そういえば、米屋ってホラー苦手じゃなかったけ」

 南が言うと、米屋は動揺していた。

「そ、そうだったけ」

「あれ。米屋くんホラー苦手だったのか?」

 辻はペットポトル4本分を持ってきて、部室に戻ってきた。彼はじゃんけんで負けて、飲み物を持ってくる係に任命されていた。

「うわ。辻くんありがとう。後でお金渡すね!」

 私は辻から1本貰い、南もありがとうと言って貰っていた。しかも、ちゃんとホットだ。ここ最近寒いから助かるー。

「米屋くんも、はい」

「ありがと。あとホラーは昔苦手だったけど今は平気だから!」

「ならよかった」

 辻は飲みながら言った。あまり、信じてなさそうだった。

「写ってるといいねー」

 南はカメラとパソコンを繋げて作業をし始めた辻に言った。

「写ってないと、結構やばいんだよな。他の七不思議はやり尽くしたし、トイレの花子さんみたいな学校の怪談も色々やったから、もうやれることはないかもしれない」

「じゃあ、これに賭けてるってこと?」

「そうだな」

 やはり、こういった検証はそう簡単なものではないらしい。こればっかりは人がどうにかできる問題でもないしなぁ。

「まあ、願うしかないな。写ってることを」

 辻は切実に言った。

「よし。準備完了。もう見れる」

 私たちはパソコンの画面に集まった。そして、映像をスタートさせた。


 見終わった私たちは、意気消沈していた。

「やっぱりだめだったか…」

 辻は呟いた。映像には何も変化が起きなかった。所々、不可解な音だと判断したものもあったが、単なる物音だったり、辻発生源の音で怪奇と捉えられるような映像ではなかった。

「辻くん元気だしなよ」

「そうだよ。またチャンスあるって」

「まだまだ発表まで時間あるし大丈夫だよ」

 私含めた3人が辻を慰めたが、辻はだいぶ落ち込んでいた。

「参ったなー。もうこれ以上やれることはないんだよな」

 辻は行き詰まった科学者のように頭を抱えた。

 そんな次を見て、私は意を決して言った。

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