第15話 逃走

高校を卒業した僕は母にバレないように抜け出す準備をしていた。


デリヘルは地元から出たあとすぐ連絡して連絡先を全てブロックすればいい。


行先は宮城県仙台市。

ネットの友人も住んでいて何度か遊びに行ったこともある土地だ。


バレないように友人と遊んでくるついでに面接をして所属するお店が決まった。

風俗なら寮もあるし寮にいるうちにお金を貯めて昼職を始めよう。

そう心に誓って新天地へ当時持っていた車に最低限の荷物を詰め込み向かった。

だが、その自分の車で向かったのが1番の間違いだったのである。


母はデリヘルの店長から僕が飛んだことを聞きつけると捜索願を出したのだ。

仙台に着いて2日目友人とドライブをしていたその時僕は警察に車を停めるよう誘導され職務質問の末地元に引き戻されてしまった。


そこからは別の店舗で24時間営業の店でキャスト兼内勤として24時間仕事をすることになった。

キャストとしての給料は全額母へ、内勤としての給料が僕の手元に来ることになったが24時間勤務のため外に出ることも許されず奴隷のように働かされ、逃げても意味はないことを知った。



それでも、僕は諦めたくなかったため何度か逃走計画を実行した。

その度に連れ戻され軟禁された。その頃には母から見た僕は金を生み出す道具に過ぎなかったのである。

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