第13話 信じてたのに

僕は高校1年生で初めて恋をした。

その人はネットで出会った人だった。

僕の生活や辛いことを親身に相談に乗ってくれた優しい人だった。


高校に上がる頃には仲良かった配信者グループとも疎遠になり拠り所がなかった僕はそれが罠だと知らずに僕はその人に依存するようになった。


その人とお付き合いをするようになった11月のある日どうしても耐えられなくなった僕は家を飛び出した。

もう帰りません。と置き手紙を残して。

お付き合いをしていたTの家へ転がり込んだ。


一緒に暮らし始めた時はTはとても優しいく僕の料理もとても美味しいと褒めてくれていた。


ただ、一緒に暮らすためには不思議な条件があった。

1,郵便受けは見てはいけない。

2,電話、家のチャイムは出ては行けない。

3,自分のスマホの電源はつけてはいけない。

4,外出は1人でしない。

の4つだった。


この頃の僕はただ、大切にされているだけだと思っていたのだが今考えたらただの軟禁である。


僕はTが仕事に出ている間はTが趣味で集めていたガンプラを分けてもらい組み立てたり家事をしたりしていた。

Tが帰宅したら一緒にご飯を食べて性行為をして2人で寝る。

そんな普通の同棲カップルのような幸せな生活が続いたのはたった2週間だった。


Tが仕事に行っている間にTがアニメを保存していたDVDを再生してみていると、ふと再生したDVDの中に僕や他の未成年の女の子との性行為を盗撮した映像が入ったDVDが見つかったのだ。


僕は仕事から帰ってきたTを問い詰めた。その日からTは本性を隠さなくなった。気に食わないことがあれば殴るようになった。だが、Tも休日に僕を連れて歩く時の周りの目を気にしていたのであろう服で隠れて見えないところを殴ったり、僕を押さえつけ自分で切ったと周りが思うように僕の腕をカッターで切って痛みを与えてきた。


暴力が始まってから1週間で僕は元の何も抵抗しない人形に逆戻りしていた。


それから1週間後の朝。

Tを仕事前に怒らせてしまい延長コードで首を絞められ意識が飛んでる時警察に保護された。


意識が朦朧とする中女性の警察官に肩をたたかれ名前を呼ばれ続け目を覚ましたことを未だに覚えている。


そのまま車に連れられてTのことを聞かれたが全ての質問に女性の警察官は首を傾げた。

そこで僕は彼が名乗った名前と年齢が違うこと、バツ1で元嫁の所に息子がいること、前科があることを知った。

彼が名乗っていたのは息子の名前だったのだ。


ただ、意識が飛んでいたこと以外に明確な殺意があった証拠がなく殺人未遂にもならず、この事件は児童ポルノ法違反だけで3年半の実刑判決だけになった。

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