私自身、バイクに乗り続けて25年以上になります。
幸いにも友人をバイク事故で亡くした経験も、大きな怪我をしたこともありませんが、作中で描かれる「死」や「リスク」は、ライダーならば心のどこかで常に意識しているものであり、深く胸に刺さりました。
本作は、単なる楽しいツーリング小説ではありません。
末期癌で余命を悟りながらも「生きているだけで感謝」と語る同僚『彼』と、五体満足でありながら命を削るような走りに魅せられる『まっちゃん』や主人公たち。
この「生」への対照的な向き合い方が、降りたくても降りられないバイク乗りが抱えるある種の「業」のようなものを、鮮烈に浮き彫りにしていると感じました。
楽しいツーリングの描写は、その空気感に親近感を抱き、ワクワクする一方で、峠での危ういバトルにはヒリヒリと共に、普段の行いへの内省を突き付けられました。
そしてそれだけでは終わらず、あとがきで明かされる真実に言葉を失いました。
あの無邪気さも、無謀さも、すべてが愛おしく、そして切ない。
バイクが持つ、翼が生えたような自由という光の部分と、常にリスクが付きまとう影の部分。
その両方が、経験者ならではの筆致でリアルに描かれていたと思います。
そして、タイトルの通り、バイク乗りには きっと胸に残るものがある作品だと感じました。
お互いに、執筆という趣味、そしてバイクという素晴らしい(けれど少し厄介な)相棒との時間を楽しみましょう。
そして、怪我せず、誰かに怪我をさせず。無事に今日も、明日も帰宅しましょう!