華麗なる1話(途中)

ブラシ暦 34月128日 ポン曜日 天気晴れ

万年金欠のドン・タクアリヌスは出稼ぎの為、この異世界に来ていた。

ここは他と変わらぬ典型的なファンタジーの世界だったが、最近魔王が復活したとのことで、魔物の数が増えており、人手が足りなくなるほど討伐依頼が増えてしまっている状況である。

それに目をつけて3日前から依頼を張り付けている酒場に出入りしているが、稼ぎのよさそうな依頼が全く見つからない状況であった。

そして今日も酒場に繰り出すべく今は宿屋の一人娘に髪型のセットをお願いしているのである。

「お兄ちゃん今日はお出かけ?」

「"今日も"だな、そろそろ依頼を決めないとお金が底をついてしまうからなあ。パーティもまだ組めてないし。」

「お兄ちゃん変な髪型してるからみんな寄ってこないんだよ。あとちょっと頼りない感じだし。」

「結構はっきり言うじゃねえか!違う違う、みんな俺の圧倒的カリスマオーラが強すぎて遠慮しちゃってんだよ。そうに違いない!」

「また、変なこと言ってるよお兄ちゃんってば、ほらできたよ。」

「お、髪型のセットありがとうな。どれどれ」

鏡で自分を映すとそこには二つ結びの可愛らしいタクアリヌスちゃんがおりました。

「おわっーーーー!!俺のパーペキなモヒカンがああっ!!」

「こっちのほうが可愛いよお兄ちゃん。モテモテだよっ。」

「ばかやろう!!これじゃあ俺の魅力が半減しちまうよお!」

「しかもなんでこんなに硬く結んでるんだよ!全然ほどけねえじゃねえか!」

「じゃあ切っちゃう?もったいないけど」

「それはダメ!絶対ダメ!!」

ハサミをジャキジャキ鳴らしている宿屋の娘を蛇のように睨みつけながら、二つ結びのタクアリヌスは仕方なく酒場へ向かうことになった。




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勇者タクアリヌスの華麗なる物語 戦士 @kosodoroyaziuma

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