記録:霜蝶花

この花は、霜蝶花といい、ソウチョウカ、と読む。

 忘れないで。という花言葉は、多くの詩人の間で好まれ、使われている。

 振り返れば、霜蝶花の花言葉の意味は、大切な人とのひと時を、当たり前のように大切にするための心情の表れだったのだ。僕にとってのリセと、リセにとっての僕。彼女に残された旅路の時間の中で、こうして一緒にくだらない笑いを浮かべられたのは、忘れられないひと時だったのだ。

 ――そして、僕もまた、彼女を忘れることなく、こうして今を生きている。

 大切なものの価値は、有限だから定義される。

 その有限の中で、共時、くだらないひと時を過ごせたのなら、それが忘れられない思い出なのだろう。


 思い出の手帳に刻む。

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