パーティメンバーにNTRされた上にダンジョンで殺されました! 怨念でアンデッドになれたので復讐します!
山親爺大将
第1話 裏切り
「ここで休憩しようか」
いつもと同じように、いつもと同じ場所で休憩の提案をする。
「そうね、休憩にしましょう」
僕の彼女のヒカルも同意してくれた。
「ま、今日もいつもと変わらない冒険だったな」
パーティメンバーにしてかけがえの無い友人のミツオだ。
ここはダンジョンの七階にある沼地エリア内の一角である。
近くの沼に大量のガスブロブがたむろしている。
この場所はモンスターが来ても、ガスブロブが撃退してくれるから休憩場所にちょうど良い。
ガスブロブはサッカーボールくらいのサイズの灰色に雲のような外見で、人間の胸くらいの高さをフワフワと浮かんでいるだけのモンスターだ。
変わった性質をしていて、死体はすぐに沼地に引き込んでしまうのに、生きているものには触れない限り攻撃してこない。
モンスターは性格なのか、こいつらに攻撃してしまうので倒されてしまう。
ジッとしていればこの場所はダンジョンの中でも相当安全だ。
「俺たちも結構長い期間このダンジョンに潜っているよな」
ミツオのその言葉に俺も感慨深い物を感じる。
「そうだねぇ、ここまで三人で無事に探索出来てるのって凄いよね」
今では十階より深い所にも潜れるようになった。
「いつまで、ここで潜るんだろうな」
「もちろんいつまでも潜れるさ! 僕たちならきっと大丈夫!」
僕のその言葉に二人が、ハァァァっとため息をついた。
「意味が分かってないな! 俺が言いたいのはいつまでこんな低ランクのダンジョンに潜らなきゃなんねぇんだって言ってるんだよ!」
「え? でも、安全を重視して行動しないと、誰かが大きな怪我をしてしまったり、取り返しのつかない事にならないように安全第一で探索しようって話したよね?」
「それにしてもよ……貴方が職業勇者だって言うから期待して付き合ってあげたのに……ぜんっぜん強くならないし!」
「それは前にも説明した通り、僕の勇者スキルは『継なぐ力』っていうスキルで……」
「そんな事は知ってる! 同じパーティの人間か同じ種族が死んだらそいつの力の一部とスキルをランダムでひとつ手に入れることが出来るんだろ?」
「そう、だから、僕が強くなるって事はその分他の人が死ぬって事で……」
「でも、貴方……普通にやってたら全然強く無いじゃないのよ」
「前に言ったろ、大規模なパーティ組んで一気に殺せば、一回だけで済むって」
「そんな事出来ないよ」
「じゃあ、モンスターに襲われて死にそうなのをダンジョン内パーティにして助けないって方法なら、罪悪感少ないでしょ? どうせ死んじゃう運命だったん人達だし」
「でも、助けようとしたら助かる命じゃないか」
フゥゥゥという溜め息をまた二人がつく。
「やっぱりダメね」
「勇者って殺せば大量の経験値がもらえるって噂知ってるか?」
「え? 何それ?」
「このまま、弱いままだとお前は誰かに殺されるかもしれない」
「でも、今までそんな事は無かったし……」
「今までは大丈夫でも、これからもそうだとは限らないわ」
「だから、俺たちの経験値になってくれ」
「え……」
突然自分のお腹から剣が生えてきた。
いつも見るミツオの剣。
隣で戦う頼りになる親友の剣だ。
「ごめんね、コレも貴方が弱いからいけないのよ」
大好きな恋人の声が聞こえた。
「そこの沼に突き落とせば後はあそこにアンデッドどもがお前を綺麗に処理してくれる」
僕は何が何か分からないまま沼に叩き落とされた。
そして、全てを理解した時には僕の身体は沼の底へと沈んでいた。
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