第6話 得意技開発は基本

 帰宅ぅ!この家に帰るのも後何回かな。俺の生活がステップアップしちゃうぜぇ。

 とりあえず今日の収穫をまとめよう。


 手元に残った珠、文珠は【縛】青×2、【酸】灰×1、【熱】黒×2、後は簡単に手に入る光と石だな。

 まずは青を作れるか試してみよう。天井から容赦なく降り注ぐ月光に意識を集中して【光】を取り出していく。転がる黒珠を10個纏めて灰珠へ、今まではこれ以上入らなかったが、まだまだ吸収していく灰珠くん。だんだんと色が変わって灰色から淡水色となり、更に青みが増して綺麗な青珠になった所で入らなくなった。


 やはり青珠は灰珠の上位。黒珠100=灰珠10=青珠1となるようだ。

 青珠まで作れるようになったのは俺の能力が成長したって事なんだろうな。右手の甲には文珠という文字と、青い珠の様な痣が出来ている。こいつを成長させればもっと強い効果を得られるんだろう。


 これブッパするか?灰色でも目を焼く威力だったんだ、そろそろ物理的にダメージがありそうで怖いな。

 どうなるか分からないから怖いんだ。イメージしよう、この強い光を利用するイメージだ。強く収束された光を使いこなすイメージ、そんなもんアレしかないよなぁ?


「いけ!レイ・ビィィィィム!!」

 太い光線が音もなく発射される!その間僅か0.1秒!終わり!

「ガッデム!力が足りない!」

 100個も掻き集めた【光】青珠を使ったのに!何の成果も!得られませんでした!!

「俺の希望のレイ・ビームが…ずっと考えていたのに……ん?レイ・ビーム?」

 俺「ひかり」って言ってないぞ。発動句は文字の読み上げじゃなくてもいいのか。それならイメージが固め易くていいな。


 さっきのは規模を大きくしすぎた、もっと小規模な技を開発しよう。

 大砲が駄目なら小銃だよな。いや最初はもっと小さくていい、的確に最小限の力で敵を倒す力。今の俺に必要なのはそれだ。

 掌に文珠を乗せて指で包み、親指を立てて人指し指を真っ直ぐ伸ばした。指鉄砲の構えだ。チャチな鉄砲が今の俺の武器。

「スターライトシュート!」


 チュイン!


 ほんの一瞬だけ奔った光が網膜に焼き付いている。放たれた光は天井の木板をぶち抜いて空へと消えた。

「きたぁぁぁぁぁぁ!俺最強伝説の始まりだ!」

 しかも手の中にはまだ文珠が残っている。少し青みが薄まった程度だ。

 低燃費!高火力!高速!これなら魔物を乱獲できるぞ!俺始まった!

 早速【光】を量産しながら明日の戦闘を思い浮かべる。指鉄砲で次々に魔物をなぎ倒す俺、怪我しても【癒】ですぐに治療が出来て隙がない。最強の戦士になる日は近いぜ。


 だがこの能力の弱点も分かった。右手で触れないと文珠が生み出せないのはまだいいが、発動に声を出す必要があるのが致命的だろ。

 俺が能力を使いこなして強くなってもさ、俺に敵が出来たら当然弱点を突こうとするだろう。もしも言葉を発さなければ発動出来ないなんて知られてたら鴨でしか無いぜ。

 この能力は大っぴらに使っちゃ駄目だ、すぐに弱点がバレてしまう。

 仲間を作っても裏切られたら破滅だ。この事は誰にも知られちゃいけない。


 まぁ要するにソロで魔物を狩りまくればいいんだろ?余裕余裕、明日から無双してやるぜ!


 おやみす茄子!ぐぅぅ。




 翌朝。夜明けと共に起きて早速ダンジョンへ向かう。

 まだ早い時間なのにダンジョンの周辺は賑やかだ。朝っぱらから肉を焼いているスパイシーな香りが暴力的だぜ。

 適当な屋台を選んで具の無いスープと硬いパンを腹に放り込んだ。今日も終わったらあの店で美味い飯を食って美人の姉ちゃんを眺めてぇなぁ。

 飯の後に小物を売っている店を見かけて腰に下げる袋を購入した。金もあるし、今日上手く行ったら明日は装備を整えるか。



 今日は少し奥の2層と呼ばれる辺りで魔物を倒す予定だが、その前に昨日の薬草を見に行った。

 薬草は抜いてないし良質な土もかけておいたので復活していないか期待していたんだが。


 もっさぁぁ!


「な、なにぃぃぃ!どうなってんだコレェ!」

 林!?いや草だ!薬草だ!しかしデケェ!あの黒土の効果なのか!?

 すげぇな、この能力って戦うより農業とか商売に向いているだろ。そんな気はないが。

 とりあえず【癒】を抜き出しておくことにした。青珠5個と灰珠5個だ。黒珠550個相当も生み出したのにまだまだ取れそう。

 素晴らしい成果だがここはダンジョンだからな、パブリックなわけよ。ここを薬草畑にしても誰かに取られるのが落ちだ。

 一応【土】の灰珠から栄養たっぷりの黒土を出して撒いておく。帰りに収穫して売ってみよう。



 薬草林を後にしてダンジョン2層へと踏み込んだ。いよいよ俺のファイナル・レイバレットMk.IIが火を吹くぜ。

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