第27話
―――…
「ルナ…貴女って本当に変わってる。
信じられない。」
「そうかしら?」
「貴女とお友達でいられる自信がないわ。」
「そんなこと言わないでよ。
私の友達は唯一あなただけなんだから。
……ヘレン。」
「……だったら少しは私の話も
聞きなさいよ。」
昼下がりのガーデンで
紅茶を楽しむレディ。
ヘレンはルナの幼なじみ。
そして唯一の親友と言える相手だ。
ヘレンの家もブラウス家に劣らずの名家で
親同士も親交が深い。
休日になると、よくこうして二人で一緒の時間を過ごしている。
「……聞いたわよ。パーティーで伯爵を誘惑したって。彼の婚約者、泣いていたわ。」
「……それはお気の毒。」
「思ってもいないくせに。」
じとっと睨むヘレンに
ルナは困ったように眉を下げる。
「……そうまでしてまだあの
ヴァンプの気を引きたいの?」
「……えぇ。毎日そればかり考えてる。」
呆れたようにため息を付きながら、片手間にマカロンを摘まむヘレン。
ルナは、ため息まじり
紅茶を冷ますと
「……私が何をしたって
彼には何てことないのよ。
他の男性のように、彼が私を求めるなんて
絶対にありえないの。」
悩ましげな息をつく。
「……信じられない!ヴァンプに求められるってことは、生き血を捧げるってことよ?
そんな恐ろしいこと出来ないわ!
私の屋敷には用心棒としてだって、そんな化物置いておこうとは思わない!
ね?ルナ…貴女、いい加減目を覚ましなさいよ!」
ヘレンの必死な説得にも
ルナは曖昧に笑うばかりで
「……人間側に付いているヴァンプはまだ良いけれど、巷ではまだ若い乙女を狩っている者もいるらしいわ?私はあなたが心配なの。」
「……ヘレン。」
「確かに貴女は変わり者だって言われてるけど、私は知ってるもの。ルナが綺麗なのは、容姿だけじゃない。純粋なその心。」
ルナを諭すように手を握ると
「……だから
惑わされないで。
彼らは私たちとは違う。」
真っ直ぐに見つめられれば
「……ね?わかって?」
「……えぇ。わかった。
ありがとう?ヘレン。」
親友にまで……嘘をつく
自分がとても酷い人間に思えた。
だけど……それでも。
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