第2話
「はぁ…はぁ…はぁ」
暗い夜道を、ただひたすらに走る。
翼はすでに切り落とされた。
滴る血が足跡になる。
それを敵が追ってくる。
立ち止まるわけにはいかない。
「……っは…はっ…」
翼が落ちた今、頼りはもうこの両足だけ。
地面を蹴るなんていつぶりだろう。
「……お願い。神様……ッ、」
どうか…あと少し時間を下さい。
「大丈…夫よ?貴方は必ず
私が守る…から。」
守るから。だって貴方は私達の愛の証。
町外れの奥の奥にひっそり佇む高い棟。
亡霊の住みかに人は近付かない。
高く暗くそびえる棟が目の前に現れた。
……ドンドンドン!!
「……お願い!!開けて!!」
……ドンドン!!
「……開けて!ジェイク!」
ギィィィ
必死に叫ぶ声に棟の鉄製の扉が開く。
『クレア……!?その傷は…!?』
現れたのはこの棟に棲む亡霊。
蒼白い顔に片目はなくポッカリと穴が開いている。
「……はぁ…はぁ、良かった。
お願……い。お願いが…あるの」
『な、なんだ!?とにかく中に…!
ルシファーはどうした!?一緒じゃないのか!?』
「……彼は…いないわ。だから……私が。」
必死に逃げてきたのか。
クレアは…白い手を泥だらけにしながら、その腕に抱えていたものをジェイクに差し出す。
『……こ…れは…?』
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