7 空のイルカ

 空に舞うイルカを見ていたんだ。蝉時雨に飽き飽きして、よくある夏の描写のように、意味もなく空を見上げてみた時だったと思う。ちらほらと浮かぶ雲とは違って、灰色の身をてらてらと輝かせていたからすぐ気付いたんだ。

 でもさそれは夢でもファンタジーでもなかった。そっちの方がよかったよ。浮かんだイルカはすぐに重力を思い出して真っ逆さま。刑事モノじゃないからトリックだってすぐわかったよ。自分より大きいものには敵わないね。

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