第3節『鬼神と悪魔』

 連行してきた際に乗ってきたバギーに積んであった武器を手に取り、戦闘態勢に入る『マキシマム13』その活き活きとした姿は、敵方には恐怖でしかない。


「やれるか、キャロル!?」

「当然!!アンタら足引っ張ったら、私の料理食べさすからね!!」

「あ、自覚はあるんだ…」


 こうして戦闘に突入。『マキシマム13』に基本陣形は無く、各々がインスピレーションで動く。邪魔にならず、時には協力し合い、自由に戦う。それに対抗するのは至難だ。


「く…野郎、詰めが甘かったか…。ここは撤退…」

「おい!?ジューダス、どこへ行く!?我々を見捨てるのか!?」

「うるせえ、能無しども!!死んだら、何にもならねえだろ!!」

「…たまにはいいこと言うんだな」

「…!!ひ…!!」


 兵を盾に逃げ惑うジューダス。しかし、その先に待ち受けているのは、ダーコートとキャロライン。最凶最悪のコンビだ。


「よ…よう、良い日和だな」

「……………」


『ダアーーーーーーーンッ!!』


 ダーコートは問答もせず、ジューダスの脚を撃ち抜く。

「あああああああああっ!!」

 痛みに耐えきれず絶叫するジューダス。容赦などあろうか。


「痛いか?痛いだろう。…だがな、君が望む戦火の下では、この痛みの果てに肉片と化した人々が何人いたと思う?」

「…はあ…はあ…。な、なあ…お慈悲があっても良いだろ?」


 策を弄する者の最期は大抵、目も当てられないほど無様なものが多い。だが、この鬼と悪魔には容赦の文字はおろか、救済の文字も無い。ジューダスは、初めて恐怖を覚えた。


『ダン!!ダン!!ダーーーンッ!!』

「ああああああっ!!」


 今度はジューダスの両腕と、脇腹を撃ち抜く。


「その痛みを抱いたまま、無に還るんだな」

「い…嫌だ…死にたくない!!助け…助けて…!!」

「そうやって、命乞いをした人をどれだけ葬って来たの?」

「いやだ…いやだーーーーーーーーっ!!しにたくな…」


『パァンッ…………』


 最後の言葉を待たずして、ダーコートの銃弾はジューダスの頭部を撃ち抜いた。事切れる肉塊。出来る事なら、もう「これ」が道端に転がる現状は最後にしたい。


「…ダーキー?」

「ん?何?」

「あなた…今にも泣きそうな顔をしてる」


 裏切られたとはいえ、今までの旅路が芝居だったとはいえ、仮にも仲間だった男だ。思うところはある。


「さ…みんなを出迎えよう。仕事は終わったはずだ」

「…そうね」


 こうして南軍が北軍の中枢を占拠。停戦を迎えることとなった。だが、『マキシマム13』のメンバーの姿はどこにも見られない。そして彼らの英雄譚だけが独り歩きしていく。


 そして、時間は現代へと戻る。丁度シャトーメデルギウスのボトルが3本空いたところだ。樫の樹の下で、ダーコートはほど良く酔い、中休みしていた。


 だがメンバーは、何かいそいそと何かの準備をしている。ダーコートはまた何か、つまらないサプライズでもしようとしてるな。と、あえて気づかないふりをする。


 緊張しているのはキャロラインだった。その理由を知ったダーコートの酔いは一気に覚めることになる。

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