今昔物語〜本朝つけたり霊鬼
大高長太
第1話 おにどのの霊
今では昔のことですが、三条通りと
まだ京都が
そこに矢筒を背負った男が馬で通りかかったのですが、突然の雷雨に見舞われ、あまりの雨で進むこともできずに松の下へと避難しました。
ところがその時、雷が松の木に落ち、その男は馬もろとも裂き殺されてしまったのです。
そうしてその男は霊となりました。
その後、京都は
そのためにその場所ではたびたび悪いことが起こるのだと、人々は語り伝えて来たのでした。
三条東洞院鬼殿霊語 第一
今昔、此の三条よりは北、東の
其の霊は、昔し未だ此の京に
其の後、
*
*この話は京都(平安京)が都となる以前に起こった事件に由来する霊についてのものである。平安京が都となったのは794年、桓武天皇の時代。その10年前に藤原種継の建議によって、奈良の平城京から北40キロメートルの位置にある長岡への遷都を行っていたが、種継が暗殺され、さらに暗殺への関与を疑われた皇太弟の早良親王が恨みを抱いたまま死去。その後様々な不幸が続き、それは早良親王の怨霊のためであるとされた。鎮魂の儀式を行うも、さらに川の氾濫などが起こり、ついには和気清麻呂の建議によって平安京への再遷都が決定した。
なお和気清麻呂は769年に
しかし平安京は決して安泰ではなかった。桓武天皇の子である平城天皇は806年に即位し病弱のため3年で弟の嵯峨天皇に譲位する。平城上皇は平城京に住み、やがて藤原種継の子である藤原
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