第18話 再生への誓い
地下室から庭園に戻ると、日が完全に沈みかけていた。夕焼けが庭園を柔らかく染める中、ユリとジュノは噴水のそばに腰を下ろした。手には、母の手紙と庭園の設計図。そして、今や二人の胸の中には新たな決意が芽生えていた。
「副会長…これからどうするつもりですか?」
ユリが慎重に尋ねると、ジュノは少し間を置いて答えた。
「母が残した資金を使って、庭園を完成させる。それが、彼女の夢を守る最善の方法だろう。」
「でも…お父様に話さなくていいんですか?」
ジュノの目が一瞬鋭くなったが、すぐにその視線を噴水に戻した。
「父にはまだ話さない。この資金を知れば、彼は庭園を単なるビジネスの道具として扱うだろう。それだけは許せない。」
「でも、お父様だってお母様のことを大切に思っていたはずです。」
「そうかもしれない。だが、父は母が亡くなった後、庭園を閉じることで自分の心を守った。彼がこの庭園を愛していたとしても、それを表に出すことはないだろう。」
ユリはその言葉に胸が痛くなった。ジュノとその父親が抱える感情の交錯が、庭園に投影されているように思えた。
「分かりました。でも、私は副会長が正しいと思う道を応援します。」
ジュノはユリの顔をじっと見つめ、小さく頷いた。
「でも、まずは噴水を完成させましょう!」
ユリが立ち上がり、力強く声を上げた。
「噴水は庭園の象徴です。これが完成すれば、きっとお母様の想いも形になるはずです。」
ジュノも立ち上がり、彼女の隣に並んだ。
「そうだな。まずはここからだ。」
二人は再び作業を再開した。古びた管を新しいものに取り替え、ひび割れた石を補修し、雨水を排水するための仕組みを整える。
作業が終わった頃には、夜の闇が完全に庭園を包み込んでいた。ユリが噴水のスイッチを押すと、静かな音とともに水が高く舞い上がり始めた。
「すごい…!」
ユリが感嘆の声を上げると、ジュノもその光景をじっと見つめた。噴水の水が月明かりを受けて輝き、庭園全体が幻想的な雰囲気に包まれていた。
「母が見たかったのは、この光景かもしれない。」
ジュノが静かに呟いた。その声には、母親への感謝と愛情が込められているようだった。
ユリはそっと彼の隣に立ち、噴水を見上げた。
「副会長のお母様、きっと喜んでいますよ。」
ジュノは何も言わず、ただ小さく頷いた。その瞳の奥には、ほんの少しだけ涙が滲んでいた。
噴水の美しい光景を見つめていた二人の前に、不意に足音が近づいてきた。振り返ると、そこに立っていたのはジュノの父、イ・ハンソクだった。
「こんな夜遅くに何をしている?」
その声は冷静だったが、どこか鋭さを感じさせるものだった。
「どうしてここに?」
ジュノが問い返すと、ハンソクは庭園を見渡しながらゆっくりと近づいてきた。
「庭園が再生されていると聞いてな。噴水が動く音がここまで聞こえてきた。」
「この庭園は俺たちで完成させる。父さんに口を出してほしくはない。」
ジュノの強い口調に、ハンソクは短く笑った。
「俺が何も知らないと思っているのか?地下室に何が隠されているかもな。」
その言葉に、ユリとジュノの顔色が変わった。
「知っていたのか?」
「知っていたとも。だが、あれはお前の母が決めたことだ。俺が手を出すつもりはない。ただし…」
ハンソクはジュノを真っ直ぐに見つめた。
「お前にこの庭園を任せるには、確かな覚悟が必要だ。」
「覚悟…?」
「あの庭園を再生するということは、過去を背負うだけではなく、それを未来に繋げる責任があるということだ。お前にそれができるのか?」
ジュノは一瞬言葉を失ったが、すぐにユリの方を見た。彼女の応援する眼差しに力を得たように、強い声で答えた。
「できる。俺がやる。」
ハンソクはその言葉を聞いてしばらく黙っていたが、やがて静かに笑みを浮かべた。
「なら、好きにするがいい。ただし、結果を出せ。」
そう言い残して、ハンソクは庭園を後にした。
選択肢
ジュノとユリが次に取るべき行動は?
1.庭園の全体計画を練り直し、噴水を中心とした新しいデザインを考える。
→ 新しい未来を見据えた計画を進める展開。
2.父と再び対話し、家族として庭園再生に協力する道を模索する。
→ 家族の絆を再構築する展開。
3.秘密の資金を活用し、外部の協力を得て庭園再生を加速させる。
→ 外部の人間を巻き込むことで物語が大きく動き出す展開。
応援コメントへの選択番号記載依頼
「ジュノとユリが次にどんな行動を取るべきか、次回の展開はあなたの選択次第です!ぜひコメント欄に選択番号を記載してください。選択番号のみの記載も大歓迎です!〆切は明日7時までとなります。また、感想や応援コメントもお待ちしています!」
読者メッセージ
「最後までお読みいただきありがとうございます!ついに動き始めた噴水、そして父との対立の中で見えた未来――ジュノとユリが次に選ぶ道を、ぜひ応援してください!毎日21時更新の『星降る庭園で君を待つ』、次回もどうぞお楽しみに!コメントお待ちしています!」
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